オンライン医療の波
「オンライン医療/診療」とは、スマートフォンやパソコン等のビデオ通話機能を使って、医師と患者がインターネットでつながって行う、ICT(情報通信技術)を活用した新しい医療形態を指す。日本では2015年8月に事実上解禁され、医療系IT企業の参入が相次いだ。一方、米国ではさらに進んだ動きがみられる。
IT巨人の参入劇
9/24、一部報道で、米アマゾンがオンライン医療サービスに参入する旨が伝わった。
このサービス「Amazon Care」は、専用アプリ経由でオンライン診療サービスを受診したり処方箋を直接自宅やオフィスへ届けてもらったりすることが可能。また、医師等が必要と判断した場合は、自宅やオフィスに看護師を派遣する「Mobile Care」サービスもある。今回はシアトル在住の従業員向けに試験的にサービスを提供するが、今後は全米規模で展開する可能性も低くはないだろう。
また、アマゾンは2018年1月にJPモルガン・チェースとバークシャー・ハサウェイの2社と共同でヘルスケア新会社の設立(今年3/6には社名を「ヘイブン」に決定)を発表した他、2018年6月にはオンライン薬局のピルパックの買収を発表する等、ヘルスケア領域での動きを加速させてきた。
アマゾンはEC(電子商取引)から実店舗、クラウド、金融、ストリーミング動画等幅広い領域で勢力を伸ばしているが、アマゾンのオンライン医療参入は、同社のDirect to Consumerモデルの拡充なのか、それともヘルスケア市場へ攻めにきているのか。いずれにせよ、今後の動向から目が離せないだろう。
オンライン医療がメインストリームに?
オンライン医療の主なポイントとしては、医者と患者をデジタル技術で効率よくマッチングさせることで料金が低下するとみられること、診療期間等の短縮につながること、早期治療や予防医療に寄与しうること、治療継続率の改善(途中で通院をやめてしまい治るはずのものが治らない患者の減少)が期待できるといったものが挙げられるようだ。既に米国では様々なスタートアップ企業が誕生している。現状はテラドックヘルスという企業がメインプレイヤーだが、今後様々な企業が参入し、市場がより活性化するだろう。
もう1つ注目できるのが、オンライン医療が浸透しうる領域だろう。オンライン医療は高血圧症や糖尿病等の生活習慣病やアレルギー関連で浸透していくと一部で予想される。
IoTの潮流は医療(Medical care)においても重要な要素となってこよう。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株ではエムスリー(2413)、LINE(3938)、米国株ではアマゾン(AMZN)、テラドックヘルス(TDOC)、中国株では平安健康医療科技(01833)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)