来る5G商用化に向けて
9/20開催のラグビーワールドカップでプレサービスが行われ、2020年には商用サービスが開始する予定の次世代通信規格「5G」。そのメリットを最もわかりやすく活かしやすいと期待されているのが動画だろう。
ただその一方で問題視されつつあるのが、従来よりも遥かに大容量の動画をやり取りするのに際し、どこでその大きなデータを処理するかということである。結論を先に言えば、「エッジコンピューティング」に直結する。
ユーザーに寄り添う
もちろん、通常のやり方でも5Gのメリットを活用しうる。例えば、KDDIは11月からトライアルサービスを開始する法人向けの5G対応ソリューション(の一部)を発表。カメラで撮影した映像を5G回線でクラウドに送り、そこのAIが映像解析を行うもの。従来では難しかった大容量の動画が送れるため、設置場所での処理が不要で低コストでのシステム構築が可能となる。
一方で、NTTドコモが8月に行った実証実験では、「MEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)」が活用された。クラウドで実行する処理を、この方式では基地局等の設備に設置したサーバーで行うことで、ユーザーとの物理的な距離を縮め、遅延を短くして反応速度を高めることが可能になる。ちなみに、この実証実験では通信技術は現行の「LTE」が用いられたが、MECによってほぼリアルタイムで遅延なくスマートフォンでレースを観戦することが可能となっていた模様。
ちなみに、MECのECにあたるエッジコンピューティングとは、本来クラウド上で行われるデータ処理を、スマートフォンやPC等のユーザー端末或いはその近辺で処理させるという、(物理的にではあるが)ユーザーに寄り添った概念である。
キーワードは「カスタマイズ」
ここで、5Gのポイントを、先般行われた日本最大のコンピュータエンタテインメント開発者向けのカンファレンスであるCEDEC2019を参考に確認してみたい。
CEDEC2019では、MECへの言及があり、その流れで、5Gの大事な特徴は、サービスの用途に合わせて超大容量・多量接続・超高信頼・低遅延というメリットのいずれかに絞って使い分けていく「ネットワークスライシング」という手法を用いることである旨が言及された模様。それによって、通信がネックでこれまで出来なかったアプリケーションやサービスないしアイデアが実現可能になると見込まれる。キーワードは「カスタマイズ」だ。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株ではコア(2359)、DMP(3652)、さくら(3778)、アステリア(3853)、ACCESS(4813)、NTTデータ(9613)、米国株ではシスコシステムズ(CSCO)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)