記録が塗り変わる?
7/20、映画業界の歴史を変えるかもしれないニュースが流れた。米ウォルト・ディズニーが同社の映画作品「アベンジャーズ/エンドゲーム」の世界興行収入について発表。2009年公開の「アバター」が記録した27億8970万ドルに肉薄し、記録を塗り替えそうだ、とのこと。一部では発表日時点での同作の世界興行収入は推定27億9020万ドルともされ、10年ぶりにトップが塗り替わりそうだ。
映画の歴史学
そもそも映画とは、動画の発明から始まったとされている。映画への足がかりを築いたともいえるのが、著名な米発明家のエジソンだ。エジソンは箱を覗き込んで動画を鑑賞する「キネトスコープ」と呼ばれる映写機を開発し1893年頃に一般公開。その後1895年には一度に多くの人々が同時に同じ動画を鑑賞できる「シネマトグラフ」をフランスのリュミエール兄弟が発明。これは現在のカメラ等と基本的に機構がほぼ同じであるとされている。
当時は日常のワンシーンを切り取ったようなものばかりだったようだが、初めて複数のシーンで構成され物語として楽しめる映画が1902年に制作された。フランスのジョルジュ・メリエスによる「月世界旅行」というSF映画だ。これ以降、世界的に映画に対する関心が大きく高まっていき、1910年代には「ハリウッド」が誕生。1930年代以降には独・仏・伊・日といった主要国で国際映画祭が開かれるようになった。また、宣伝ツールとしての有効性にも注目が集まり、特に第二次世界大戦中にはプロパガンダとして映画が用いられる場面もあった。
また、1977年公開の「スター・ウォーズ」のように、映画製作そのものや一般社会に大きな影響を与えたものもある。加えて、世界の歴代映画興行収入ランキングを見ると、多くがSF作品ということも、示唆するものがありそうだ。
映画の牽引役はアジアに?
世界的に拡大が続く映画市場だが、実はそのなかで伸びが著しいのがアジア太平洋地域だ。米国映画協会(MPAA)によれば、北米(米国・カナダ)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アジア太平洋、ラテンアメリカといった地域別で、相対的に大きく伸びているのがアジア太平洋地域の模様。同地域の2018年の映画市場は2014年比で35%と各地域中最大の伸びを記録。前年比では7%増の北米にこそ後れをとったが、5%と相対的に高い伸びを示している。
アジア太平洋の伸びの牽引役と思われるのが中国だ。一部報道によれば、2012年には既に日本の市場規模を上回り、2018年には1兆円に迫る勢いだったとのこと。また、スクリーン数も同期間で約5倍に急増した模様。
購買ではなく体験に支出する「コト消費」の盛り上がりを示す1つの指標として見ることも出来よう。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株ではソニー(6758)、松竹(9601)、東宝(9602)、米国株ではアリババADR(BABA)、ウォルト・ディズニー(DIS)、中国株ではテンセント(00700)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)