「はやぶさ」の快挙達成に胸躍る
7/11にJAXA(宇宙航空研究開発機構)は、探査機「はやぶさ2」が地球から約2.4億km離れた小惑星「りゅうぐう」への2度目の着陸に成功したと発表した。2014年12月に打ち上げられ、昨年6月には「りゅうぐう」に到着。今年2月の最初の着陸とは違う場所への再着陸と地中にあった砂や石の回収は世界初の快挙という。
これを受け記者会見をしたJAXAの担当者は「100点満点でいうと『1000点』」とコメントした。今後は年末までに小惑星を出発し、2020年末に、採取物を入れたカプセルを地球近くで切り離す予定となっている。
結集された「日の丸」の技術
今回の「はやぶさ2」には日本企業の叡智が集約されている。今回の一連の動きとしては、着陸・採取予定地での人工クレーター創造、降下・着地(地球との通信が困難なためほぼ自動運転)、砂や石の採取等があったが、これらの行程には日本企業の技術力が大きく寄与していた模様だ。
例えば、NECは降下の際の自動運転に係るセンサー技術を、日本工機(非上場)等は「りゅうぐう」表面に金属弾を打ち込みクレーターをつくる装置を、住友重は採取のための筒状サンプラーホーンを、IHIエアロスペースはサンプルを地球に持ち帰る耐熱カプセルを提供した。
今まで宇宙開発では出遅れが指摘されていた日本だが、今回の小惑星探査という特定分野では世界に先行した格好となった。同分野は自動運転やカメラの画像処理技術等、幅広い応用が期待できるという。
また、NASA(米航空宇宙局)の探査機による小惑星着陸準備に際し、同局がJAXAにノウハウの協力を依頼したとも伝わっている。
新宇宙時代の到来か
世界で初めて月面着陸を成功させたアポロ11号が月に着陸してから約50年が経つ。一部調査によると、2018年の世界のロケット打ち上げ数は34年ぶりの高水準を記録したもよう。前年からは4割増え、2024年には旧ソ連による世界初の人工衛星「スプートニク1号」打ち上げ以来過去最多を記録する見通しとのことだ。
その背景として、人工衛星が生み出す膨大なデータを活用したビジネス等への需要拡大が指摘されている。例えば、精錬所や加工工場の衛星画像から屋外の出荷待ち銅製品の動きを監視したり、海面の盛り上がりから魚群を見つけたりといった具合。用途も農漁業、災害保険、自動運転へ拡大すると見込まれている。
現在の宇宙産業はほぼ官公需だった冷戦期とは打って変わり、大きな民間需要が支える構図となっている。かつて胸に抱いた空想が現実となる日は近づいているのかもしれない。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、カーリットHD(4275)、NTN(6472)、NEC(6701)、富士通(6702)、キヤノン電(7739)、ANA(9202)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)