拡大するアズ・ア・サービス
クラウド関連ではよく目にする○aaS(○○as a Service或いはXaaS)。クラウド上でデータ分析をするAaaS(Analytics)や仮想デスクトップ環境を実現するDaaS(Desktop)、仮想サーバやネットワークといったインフラを提供するIaaS(Infrastructure)、ソフトウェアをパッケージではなくネットワーク経由で利用可能にしたSaaS(Software)といった具合。そうした○aaSを総称した言葉として、XaaSという言葉があるようだ。ただ、足もとの動向を見ると、代入するアルファベットによっては、クラウドに留まらない可能性も考えられる。
現実世界でのアズ・ア・サービス
拡大するXaaSの一つの注目される事例がMaaS(Mobility)だ。
MaaSとはクルマのみならず航空・海運・鉄道交通といったものまで視野に入れ、シームレスな移動そのものをサービスとして提供するというもの。カーシェアや経路案内、運行情報、予約・決済等を網羅するとされる。
参考になりうるのが、一部でMaaS先進都市と言われているフィンランドの首都、ヘルシンキだ。MaaS運営会社のマース・グローバルの展開するアプリである「Whim」を導入したことで、公共交通へのシフト、タクシー利用が倍増したと言う成果を現出したようだ。1日あたりの平均的なヘルシンキ市民の利用回数とWhim利用者の利用回数を比較すると、公共交通機関は1.6回が2.15回に、タクシーは0.03回が0.07回に増えたとのこと。自家用車は利用回数こそ変わらなかったが、シェアが7.3%から3.4%と半分程度になった模様。公共交通すべてを簡単に統合できたことや、都度払いではなく定額制による乗り放題を採用して利便性を高めたことが成功の背景として指摘されているようで、Whimは0-4の5段階評価で世界唯一の「レベル3」という指摘もある模様。
アズ・ア・サービスはどこまで拡がる?
なぜ、XaaSの拡大が当初のクラウドからインターネット以外の領域に拡がっているのか。その要因として考えられるのが、IoTという言葉が示すように、ネット社会が急速に進み、あらゆるモノがネットに繋がりつつあるということであろう。
ゲームもその例に漏れない。米グーグルが先日、クラウドゲーミングサービス「STADIA」を発表したが、GaaSという語はまさにそのクラウドサービスを指すとの指摘もある。
確かに、MaaSにしろGaaSにしろ、その基盤にはクラウドやその技術が存在する。XaaSにはクラウドの存在が必要不可欠なのだろうが、Xに何が代入され、その裾野がどこまで拡大していくのか、目が離せない。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株ではデンソー(6902)、トヨタ(7203)、ネットワン(7518)、米国株ではアドビ(ADBE)、アマゾン(AMZN)、セールスフォース(CRM)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)