IoTを振り返る
IoTとはInternet of Thingsの略語でパソコンやスマートフォンのみならず医療器具や家電、車といった身の回りのあらゆるモノがインターネットに繋がる状況を指し、5Gや自動運転、VR等の先端技術等に関するものが紐付けられるとされる。ちなみに、このIoTという言葉は、現実世界をインターネットに接続するユビキタスセンサーのシステムを考案した英テクノロジー先駆者のケビン・アシュトン氏による造語とされる。
Businessから始まるのがIoT?
IoTという言葉は世間で話題になって久しいが、身近な実感としては、今一つな方も多いのではないだろうか。その感覚をIoT社会実現に対する疑念につなげるのは早計だろう。
ヒントになりうるのが、国内IoT市場のユーザー支出額に関するデータだ。一部試算によれば、国内GDPに占める製造業の割合が高いことや製造業のIT化を進めるという国策を背景に、13の主要産業分野のうち製造業の支出額が突出しているとのこと。その他では、官公庁、公共/公益、小売、運輸の支出が目立つようだ。
気になる個人消費者に関しては、足もとのIoT支出はスマート家電が牽引しているとのことだが、組立製造に次ぐ2番目の大きな市場になるのは2023年を待つ必要があるようだ。もっとも、同分野のIoT支出額の成長性は相対的に高い傾向にあることが指摘されている。
全てを網羅するIoT
同じ調査では、スマート家電やスマートホーム以外の成長性が高いユースケースとして、農業フィールド監視や小売店舗内リコメンド、コネクテッドビル(照明)、スマートグリッド/メーター(電気)、テレマティクス保険(最先端テクノロジーを活用した自動車保険)等、多様なものが挙げられている。
国内企業の動きからも、多様性が見受けられる。例えば、IoTを活用したウニ・ナマコの陸上養殖の実証実験やIoTを活用した菓子製造、スマホ等で施錠・解錠するスマートロックや無人キーボックスでの鍵の受け渡し(「鍵のIoT化」)、袖を触ることでスマホ等を操作できるIoT Gジャンといったように、非常に幅広い領域を網羅している。
ここから、わかるのは、文字通りIoTが我々の生活の新たな基盤となりうることだ。ただ、IoTという名の森はあまりにも広大であるため、全体像を把握し辛いのだろう。だからこそ、足もとでは今一つな実感の方も少なくないと考えられる。ただ、それでも忘れてはならないのは、IoTという大きな新しい時代の流れは、ゆっくりと、だが着々と、我々に迫りつつあり、同時に我々もそこへ突き進んでいるのである。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株ではCTC(4739)、富士通(6702)、ルネサス(6723)、ネットワン(7518)、米国株ではアマゾン(AMZN)、キーサイト・テクノロジーズ(KEYS)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)