2/19~23の中国株式市場は次の上昇相場を見据えた下値固めの時間帯と考える。
2/8の習近平国家主席による春節の挨拶では、24年を第14次五カ年計画の重要な年と位置付けた。同計画はデジタル経済や科学技術の発展に注力しており、12月の中央経済工作会議で24年は科学技術の発展を最重要視するとした方針と一致する。景気対策が後回しになるとの懸念も残ろう。
ただ、好材料もある。2/8に発表の1月生産者物価指数(PPI)は12月から前年比下落幅が縮小。消費者物価指数(CPI)は前年比では下落幅が拡大したが、前月比では0.3%上昇と物価上昇が定着化しつつある。デフレへの過度な懸念は必要なかろう。また、2/10~13の春節旅行者数は2299万人と前年比42%増、コロナ前19年比9%増へ回復した。23年の前年比23%増に続き、今年も旅行が好調なようだ。
春節明けの2/19の週の中国株式市場は、春節中の好悪材料を織り込むボラティリティの高い展開となろう。政府は株価急落による逆資産効果を回避するためか、春節前に政府系基金を通じて過去最大規模の買い支えを実施した模様。景気低迷も懸念しているとみられ、3/5に開幕予定の全国人民代表大会では景気刺激策を決定し、施策は大会前後に報じられよう。投資家心理も徐々に改善すると見込まれる。また、23年通年の大手企業の決算発表も始まる。まずは、2/22の中国旅行予約サイト最大手トリップドットコム(09961)の決算に注目したい
(2/14記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
百勝中国控股(ヤム・チャイナ・ホールディングス)(香港・09987/Z9090)
◆外食チェーン大手ヤム・ブランズ(YUM)が、中国事業を分社化する形で2016年に成立。中国本土で独占的に「KFC」「ピザハット」などを運営
◆23年通期の総収入は前年比14.7%増、純利益は同87.1%増。営業利益率は同3.7%pt上昇の10.6%に改善。23年の全店舗売上高は前年比21%増加した
◆23年末の店舗数は前年比13%増の1万4644店に達し、うち「KFC」「ピザハット」の店舗純増数は過去最多。26年は2万店に増やす目標。中国景気減速を受けて、価格帯が低いファストフード市場が拡大すると見込まれ、同社にとってメリット大。24年に米国と香港市場で12.5億米ドル自社株買いする計画
(投資情報部 呉)
浙江銀輪機械(ジェイジアン・インルン・マシーナリー)(深センA・002126/Z9109)
◆ラジエータやオイルクーラなど熱交換器のリーディングカンパニー。排気ガス処理装置も手掛ける
◆23年1~9月期の売上高は前年同期比33.2%増、純利益は同91.6%増と好調に推移した。同社は23年12月期の売上高が前年比27.4~29.7%増、純利益が同53.9~67.0%増になる見通しを発表
◆23年6月中間期、新エネ車向け売上高は前年同期比66.7%増となり、売上構成比は同3.9%pt上昇の24.2%に上った。海外展開を積極的に推進。メキシコ工場は23年2Qに生産を開始し、同年4Qには損益分岐点に到達した。ポーランド工場は23年8月に初出荷を行い、24年の業績へフルに寄与する見込み
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)