12/5~9の中国株式市場は上昇基調を維持しよう。
中国では都市封鎖に反発し、11/26~27に各地で大規模な抗議活動が勃発。政府は警察による厳戒態勢で抗議活動を抑制する一方、「地方政府が過度なコロナ規制を実施している」とし、地方政府に政策の修正を求めた。また、11/30には孫副首相が「オミクロン株の病原性は比較的弱い」としてコロナ対策は「新たな段階にある」と発言。4回目のワクチン接種も検討しているようで、ゼロコロナ政策緩和は動きつつある。
政府は上場不動産会社に対し債務返済等を目的とした株式発行を禁じていたが、11/28に容認へ転じた。不動産会社に対する資金調達規制は一段と緩和され、不動産会社の倒産懸念も後退し、新築住宅販売にもプラス効果が期待される。
11/30に発表の11月購買担当者景気指数(PMI)は、感染拡大で景況感が一段と悪化したことを示した。コロナ禍の12月前半に開催が見込まれる中央経済工作会議では、来年の政策として景気重視が示され、消費を中心とした景気刺激策等が盛り込まれよう。また、ゼロコロナ政策の微調整についても言及する可能性がある。
ゼロコロナ政策や不動産規制は景気と株価の主要な押し下げ要因だった。しかし、政府が緩和方向へ舵を切ったことは、中国株の中長期的上昇を支えよう。特に、香港市場は割安感が強く、戻り売り等で値が下がった所では押し目買いで臨みたい。
(12/1朝記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
テンセント(香港・00700/Z4275)
◆中国の総合ネット大手。チャットアプリ「微信/WeChat」の月間アクティブユーザー数は13億人強
◆3Qは前年同期比2%減収、同1%増益と予想以上に収益性が改善。コスト削減の強化などにより業績回復基調が続く見込み
◆微信内のショート動画サービス「動画アカウント(視頻号)」の利用は急増中。今後視頻号の収益化の進展が業績に大きく寄与する見込み。採算性重視への方針転換を進めるクラウド事業の粗利益率は大きく上昇。海外ゲーム会社への投資を積極的に推進しているため、今後海外ゲーム事業の拡大が見込まれる。株主還元を強化。美団株の現物配当を行うほか、自社株買いも積極的に実施中
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー)(上海A・601888/Z8635)
◆空港及び市中免税店を経営。中国シェア86.0%、世界シェア24.6%でいずれも首位(21年)。海南島の海口や三亜で大規模免税モールを展開
◆22年6月中間期は前年同期比22.2%減収、同26.5%減益。新型コロナの感染再拡大による買物客急減の影響大。7~9月期も同16.2%減収、同78.0%減益と不振続く。短期的には旅行と消費マインドの減退が業績の重しになりそう
◆もっとも、22年10月開業の海口国際免税城(世界最大級の免税モール)が盛況で、免税品購入ニーズは健在。22年12月期は減収減益見通しだが、利益率は改善中。行動規制がやや緩和されそうな23年には増収増益に転じると予想
(上海駐在員事務所 孫)