11/28~12/2の中国株式市場はボラティリティが高い展開か。
テンセント(00700)の1~6月の純利益は前年同期比53%減だったが、11/16に発表された7~9月期の純利益は前年同期と同程度へ回復。11/17に発表のアリババ集団(09988)の7~9月期は保有株の評価損を計上したため、純利益は224億元の赤字。ただし、本業の利益を示す営業利益は251億元と前年同期比68%増。両社とも、ネット規制による収益の悪化は乗り越えたようだ。
11/30に発表予定の11月購買担当者景気指数(PMI)は、新型コロナの感染拡大を背景に低下しよう。ただし、景気悪化は既に株価に織り込み済みとみられる。一方、国務院が金融緩和の方針を示したこともあり、預金準備率引き下げが近日中に見込めよう。また、来年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議は12月前半にも開催され、景気安定のために消費を中心に各種景気刺激策が採用されるとみられる。更に、年内にも中国産mRNAワクチンの承認等、株価の好材料が続くと期待される。
株価に影響が大きいとみられる新規感染者数は、11/21に27,899人と、4/13の過去最高(29,317人)に迫る。ただし、中国政府は10月半ばから各地で部分的都市封鎖を続け、新規感染者数の5日間移動平均の前日比増加率は足元で鈍化しつつある。新規感染者数のピークアウトが確認されれば、株価は上昇してこよう。
(11/24朝記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
香港証券取引所(ホンコン・エクスチェンジ・アンド・クリアリング)(香港・00388/Z2888)
◆世界の大手証券取引所。過去13年間のうち、IPO調達額で世界首位は7回
◆現物市場の売買低迷などを受け、1~9月期は前年同期比28%減益。10月後半以降は、現物市場の売買が回復基調
◆9月末時点で処理段階にある上場申請数は144件に上り、IPO市場の回復が見込まれる。23年2Qにストックコネクト経由の人民元建て香港株取引が導入される予定。中国マネーの流入が拡大すれば、市場の活性化につながると考える。「MSCI中国A50コネクト指数」先物は取引手数料50%割引の優遇措置がとられている。今後取引高が増加し、取引手数料も正常化すれば、業績に大きく寄与しよう
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
思源電気(シーユェン・エレクトリック)(深センA・002028/Z9085)
◆送配電設備の製造・販売に注力。電力の安全・安定供給に不可欠とされる隔離スイッチで中国トップクラスの実力を誇る
◆22年1~9月期は前年同期比14.4%増収11.6%減益。上海の都市封鎖に伴う生産工場の一部操業停止などが響いた。ただ、6月中間期(同13.2%増収16.9%減益)からやや改善
◆10~12月期は送配電網向け投資の繁忙期(全体投資の約4割)にあたり、同社製品の出荷増が期待される。主要顧客の中国2大送配電企業(国家電網と南方電網)による22年の送配電網投資額は6250億元以上と過去最大になる見通し。特高圧や新エネ発電分野での需要増が同社ビジネスの後押しへ
(上海駐在員事務所 山藤)