10/10~10/14の中国本土市場は、週初は反発するも、その後は香港市場同様に方向感が乏しい展開を見込む。
国慶節(10/1~7)明けに発表が見込まれる同祝日の旅行者数は感染対策等を受け、昨年比で大幅減が見込まれる。9/30に発表の9月購買担当者景気指数(PMI)でも、製造業が3カ月ぶりに景況感の分岐点を上回る中、非製造業は都市封鎖の影響もあり低下した。一方、メルクの新型コロナ経口治療薬の中国での販売製造が予定され、中国産のmRNAワクチンが年内にも承認される見通し。党大会が終われば、地方政府が新型コロナ感染に過敏になる必要はなくなるとみられ、ゼロコロナ政策は徐々に緩和へ向かおう。そうなれば、旅行や娯楽需要は徐々に回復が見込まれる。また、不動産大手100社の9月の新築住宅販売金額は前年同月比25%減と減少したものの、住宅取引規制の緩和等を背景に減少率は縮小している。人民元安も収束しており、中国景気は安定しつつある。
10/10の週の本土市場は、国慶節休場中(10/3~7)に海外市場が上昇したため、上昇して始まるとみられる。ただ、10/16に開幕予定の党大会を控え徐々に方向感が乏しい展開となろう。党大会が終了すれば中国の政治的不透明感は後退が見込まれる。米政府は対中半導体規制を強化する方針を示しているが、11/8の米中間選挙が終われば米中首脳会談が計画され、緊張関係は一旦緩和しよう。中国株を取り巻く環境は少しずつ改善しつつあるようだ。
(10/5記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
中国平安保険(ピンアン・インシュアランス)(香港・02318/Z4281)
◆中国有数の総合金融グループ。保険、銀行や証券など幅広い金融サービスを提供。医療・ヘルスケアを新たな成長エンジンと位置付ける
◆22年6月中間期は前年同期比2.9%減収、同3.9%増益。保険資金投資ポートフォリオの年率換算純投資収益率は同0.1pt上昇の3.9%に
◆21年の特許出願件数ランキングではAI、フィンテックと医療科技はいずれも世界首位。テクノロジー事業の拡大に取り組むほか、先端技術を主力の金融事業へ積極的に活用。生保事業の改革はデジタル化による業務効率の向上などの成果が明らかに出てきており、中長期的には競争力の強化につながると考える。配当利回りは魅力的
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・ファーマシューティカルズ)(上海A・600276/Z8425)
◆抗がん剤、手術用用品、造影剤、麻酔薬、心血管治療薬、抗生物質などの製造・販売を手がける。売上高の5割以上を占める抗がん剤では中国最大規模
◆22年6月中間期は前年同期比23.1%減収、同20.6%減益。薬価引き下げや新型コロナ感染拡大による病院の患者数及び手術数の減少などが影響した
◆薬価の値下げ圧力に対応し、新薬開発や国際化に注力する方針。中国医薬企業最多となる新薬11品目が市販許可を取得。研究開発中の新薬は60品目以上。主力医薬品のPD-1抗体薬(がん治療薬の一種)は22年内に米FDA(食品医薬品局)に市販申請提出計画。市販新薬増加に伴う業績改善に期待
(上海駐在員事務所 孫)