8/22~8/26の中国株式市場は景気刺激策と、生産抑制や市場金利上昇の狭間で方向感のない展開を見込む。
8/15に発表された7月主要経済指標は、新型コロナの感染拡大と7月半ばに報じられた住宅ローン不払い問題等を背景に概ね市場予想(Bloomberg)を下回り、景気の弱さを示した。中でも、感染拡大の影響を受けやすい小売売上高は前年同月比2.7%増と6月の伸び(同3.1%増)を下回り、住宅ローン不払い問題の影響を受ける新築住宅販売床面積は同30.3%減と、6月の同21.8%減から減少幅が拡大。16~24歳の調査失業率は19.9%と18年の統計開始以来最大となった。
景気減速懸念から、政府は8/16に国有関連機関に一部不動産会社の国内債を保証するよう指示。他の不動産会社にも広がる可能性があり、購入住宅の引き渡し問題の改善が期待される。更に、李克強首相は地方政府に景気刺激策を要請。1.5兆元のインフラ投資用資金も特別債で調達するようだ。
一方、四川省や重慶では猛暑等の影響で企業に対し計画停電が行われ、石炭の産出地である山西省は洪水で更に多くの石炭鉱山を緊急閉鎖するようだ。石炭、リチウム等の価格は強含んでおり、市場金利も下げ止まり上昇へ転じつつある。
なお、8/22の週は決算発表が相次ぎ、個別銘柄の動向も注目される。
(8/18朝記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
舜宇光学科技(サニー・オプティカル・テクノロジー)(香港・02382/Z4632)
◆中国の光学部品の総合メーカー。車載用レンズ分野では世界首位。光学機器も手掛ける
◆6月中間期は前年同期比14.4%減収、49.5%減益も純利益はガイダンスの範囲内に着地。下期の業績は回復に向かう見込み。スマホ市場の需要低迷を背景にスマホ用製品の出荷量は低調が続くものの、車載関連製品が回復基調にあるほか、AR/VR関連製品も好調が続く見通し
◆iPhone向けレンズの出荷拡大が見込まれている。ADAS(先進運転支援システム)採用の促進などにより、レンズなど車載用光学部品の市場規模は中長期的に拡大基調が続く見通し。また、AR/VR市場急拡大の恩恵を大いに享受できると考える
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
上海璞泰来新能源科技(シャンハイ・プータイライ)(上海A・603659/Z9023)
◆負極材大手。中国負極材市場で8割以上を占める人造黒鉛タイプに強み。同分野の21年シェアは20.0%で6年連続首位
◆22年6月中間期は前年同期比75.8%増収、80.1%増益と好調。原材料価格の上昇などでコスト圧力が増したものの、一部材料の自社生産能力の引き上げなどで対応。粗利益率は同0.46pt上昇の37.45%に
◆ 22年1~6月の同社負極材出荷量は同21.6%増の5.5万トンと、中国のリチウム電池出荷量(同109.8%増)に比べ伸び悩み。生産能力不足や上海の都市封鎖に伴うCATLのテスラ向け電池出荷量減少の余波を受けた。ただ、同年4月には生産拡大に乗り出し、22年出荷量は前年比54.3%増の15万トンまで拡大見通し
(上海駐在員事務所 山藤)