6/6~6/10の中国市場は堅調に推移するものの、週末にかけて利食い売りに押される可能性があろう。
上海市が5/29に、電気自動車に対する購入補助金や減税等を含む50項目の復興計画を発表。6/1からは都市封鎖の解除を本格化し、例外を除き市民は自由に外出できるようになり、公共交通機関は全面運行再開となった。5/31に発表された5月の購買担当者景気指数(PMI)は景況感の分岐点である50を下回ったものの、新型コロナ感染状況の改善と景気刺激策を背景に大幅に改善した。
6/9には5月の貿易統計が発表予定。世界最大のコンテナ取扱量の上海港が都市封鎖の影響を受けたことから、輸出入共に不振が継続するとみられる。また、人民元-ルーブル取引はロシアのウクライナ侵攻後に前年比10倍以上に増加しているため、中露貿易が拡大している可能性がある。
中国株は景気回復期待から上昇基調が続こう。ただ、上海総合指数は5/31時点で4/27の直近安値(2,863pt)から既に11%上昇したため、一部投資家は利食い売りの機会を模索していよう。新型コロナの新規感染者数増加やロシアとの貿易拡大は、悪材料として嫌気される可能性がある。ただし、政府は感染予防に注力し慎重に都市封鎖の解除を進めているとみられ、経済の正常化継続が確認されれば、株価は再び上昇基調に戻ろう。
(6/1記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス)(香港・02269/ Z8685)
◆バイオ医薬品の開発から製造までを請け負う受託会社。世界の製薬会社トップ20社を顧客とする。FDA(米国食品医薬品局)とEMA(欧州医薬品庁)から中国初の生物製剤受託製造開発機関として承認。世界市場シェアは10.3%で第2位(2021年)
◆21年12月期は前年比83.3%増収、同100.6%増益。新型コロナウイルス関連業務を含む各種プロジェクト推進、生産能力拡大や運営効率の向上などが業績を後押し
◆21年12月末時点の開発中プロジェクトは480件(前年比146件増)。向こう3年内に完了予定の契約は28.90億米ドル(同98.2%増)と、将来の収入増が見込まれる。22年の新規契約獲得目標は120件(22年4月末の進捗率は39.2%)
(上海駐在員事務所 孫)
上海汽車集団(上海A・600104/Z8417)
◆自主ブランドのほか、米GM(ゼネラルモーターズ)、独VW(フォルクスワーゲン)などと合弁展開。21年の新車販売台数は546万3500台と中国首位(市場シェアは20.8%)。新エネ車販売台数は73万2646台と中国最多(同20.8%)
◆21年12月期は前年比5.1%増収、同20.1%増益。粗利益率は同0.62pt上昇の11.35%となった。原材料価格の上昇は高利益率の車種販売増で相殺できたもよう
◆上海都市封鎖の影響で22年4月の新車販売は前年同月比60.3%減と2カ月連続でマイナス成長。生産能力の3割を占める上海工場の1日当たり生産台数は通常時の8割まで回復。上海市のEV購入補助策が同社販売の後押しへ
(上海駐在員事務所 山藤)