10日の香港株式市場は5営業日ぶりに反発した。ハンセン指数の終値は前日比262.55pt(1.27%)高の20,890.26ptだった。原油などの商品価格の上昇が一服し、資源高によるインフレが世界景気を悪化させるとの警戒感が和らいだ。投資家心理の改善が相場を押し上げた。上値は重かった。心理的節目の21,000ptを上回る場面では、短期的な利益確定売りなどが出て伸び悩んだ。中国電気自動車(EV)の蔚来集団(NIO、09866)が10日、香港市場に重複上場した。終値は9日の米預託証券(ADR)の終値(20.17米ドル、157.60香港ドルに相当)と比べて0.8%高の158.90香港ドルだった。指数への寄与度の大きい金融株が総じて買われ、指数をけん引した。小鵬汽車(シャオペン、09868)や比亜迪(BYD、01211)などのEV株が高い。半面、中国石油天然気(ペトロチャイナ、00857)などの石油関連株が安い。出前アプリの美団(03690)などネット大手株の一角が売られた。香港メーンボードの売買代金は1462億香港ドルだった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで34億4900万香港ドルの買い越しだった。
10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比112ドル18セント(0.3%)安の33,174ドル07セントで終えた。ロシアとウクライナの外相会談が目立った進展なく終え、投資家心理を冷やした。2月の米消費者物価指数(CPI)を受けてインフレ警戒が改めて強まり、ハイテク株を中心に幅広い銘柄に売りが優勢となった。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、前日比125.583pt(0.9%)安の13,129.963ptで終えた。
11日の香港株式市場でハンセン指数は反落か。米証券取引委員会(SEC)は2020年に成立した「外国企業説明責任法(HFCAA)」に基づき、米国で上場する外国企業の監査を強化している。10日の米株式市場では、HFCAA の基準を満たしていない5社の中国企業が上場廃止となる可能性が示唆されたことから、上場廃止のリスクが改めて意識され、中国企業の米預託証券(ADR)が軒並み下落した。米国株式市場で中国企業関連株が大幅下落した流れを受け、売りが先行しそうだ。
(マーケット支援部 林)
軟調な展開か
10日の中国・上海株式市場は7営業日ぶりに反発した。上海総合指数の終値は前日比39.7038pt(1.21%)高の3,296.0922ptだった。原油下落を受けて中国市場でもインフレによる世界景気の減速への過度な警戒感が後退した。上海総合指数は前日までの6日続落で7%近く下落しており、値ごろ感を意識した買いも入りやすくなっていた。中国では今週、両会(全国政治協商会議・全国人民代表大会)が開催され、このうち全国政治協商会議は10日に閉幕した。中国政府による産業支援策への期待が強まり、銀行株の一角や食品株、インフラ関連などが買われた。半面、商品相場と連動し資源・素材株が売られた。保険株や証券株も午後に売りが優勢となった。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆787億元と、節目の1兆元を上回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで33億7400万元の売り越しだった。個別では、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、宜賓五糧液(ウーリィアンイェー・イービン、000858)などが買い越しとなり、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが売り越しとなった。
11日の中国本土市場は軟調な展開か。ウクライナ情勢を巡る不透明感から、リスク回避姿勢を強める海外投資家などの売りが膨らむ公算が大きいと思われる。
(マーケット支援部 林)