16日の香港株式市場でハンセン指数は4営業日ぶりに反発した。終値は前日比363.19pt(1.49%)高の24,718.90ptだった。前日の欧米株高や16日の中国・上海株の上昇を好感した。香港市場でもウクライナ情勢への過度な警戒が後退したうえ、要人発言などを手がかりに中国の政策への期待も改めて意識され、幅広い銘柄に買いが入った。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」も4営業日ぶりに反発し、終値は同2.29%高の5,616.38ptだった。中国電子商取引(EC)のアリババ集団(09988)が堅調に推移するなどハイテク大手が買われた。金融株が高く、マカオのカジノ株の上昇も目立った。もっとも、香港の新型コロナウイルスの新規感染者数は16日に4000人超と前日から倍増。中国の習近平国家主席が香港はコロナ対策を最優先すべきと述べたと伝わり、香港当局が防疫措置を強化すれば景気の下押し要因になるとの懸念もくすぶった。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1017億香港ドルと前日から1割減った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで3億6600万香港ドルの買い越しだった。
16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比54ドル57セント(0.2%)安の34,934ドル27セントで終えた。ウクライナ情勢への警戒が続き、一時は346ドル安となったが、午後に下げ幅を縮めた。午後2時に米連邦準備理事会(FRB)が1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表。金融引き締めの加速を示唆する新たな情報がなく、買い直された。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反落し、同15.662pt(0.1%)安の14,124.095ptで終えた。
本日の香港株式市場はもみあいか。ウクライナ情勢への懸念が続いており、上値追いの動きは限られよう。コロナウイルスの域内感染拡大も相場の重石となろう。
(マーケット支援部 床井)
外部環境不透明も、堅調な動きを予想
16日の中国・上海株式市場は続伸した。上海総合指数の終値は前日比19.7420pt(0.57%)高の3,465.8305ptだった。朝方発表の1月の物価統計で前年同月比の伸び率が縮小。卸売物価指数(PPI)は市場予想を下回り、インフレによる企業収益や景気の下押し不安が和らいだとみた投資家の買いが入った。取引時間中には「緩和的な金融政策を柔軟に続ける」との中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁の発言が伝わり、中国当局の政策期待が改めて広がった。地政学リスクへの過度な警戒も後退し、相場を押し上げた。上海と深セン市場の売買代金は合計で8070億元。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで16億2300万元の売り越しだった。個別では、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、興業銀行(インダストリアル・バンク、601166)などが買い越しとなり、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)、歌爾(ゴーテック、002241)などが売り越しとなった。
本日の中国株式市場は堅調な動きか。外部環境の不透明感が強いものの、中国政府が緩和的な金融政策を柔軟に維持していく方針を示したことを受け、堅調な動きが想定されよう。
(マーケット支援部 床井)