8日の香港株式市場は反落した。ハンセン指数の終値は前日比250.06pt(1.01%)安の24,329.49ptだった。米商務省は7日、輸出品の出荷後の使用方法などを十分に検証できていない企業などをまとめた「未検証者リスト(UVL)」に中国の33企業・団体を指定したと発表した。傘下企業がリスト入りしたバイオ医薬品の薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス、02269)が急落し、相場全体の地合いを冷やした。薬明生物技術は23%安で終え、1銘柄でハンセン指数を123ptほど押し下げた。また、前日の米ハイテク株安の流れが香港市場にも波及し、中国大手ネット株の下げも目立った。反面、マカオカジノ株が高く、金融株も買われた。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は続落し、同1.67%安で終えた。香港メーンボードの売買代金は1295億香港ドルだった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで14億900万香港ドルの買い越しだった。
8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比371ドル65セント(1.1%)高の35,462ドル78セントで終えた。バイオ製薬のアムジェンが大幅高となり、ダウ平均を押し上げた。米長期金利が一時1.97%と2019年11月以来の高水準を付け、利ざや拡大期待から金融株が買われたことも相場を支えた。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、同178.787pt(1.3%)高の14,194.455ptで終えた。
本日の香港株式市場は反発か。前日の米株式市場で主要株価指数がそろって上昇した流れを引き継ぎ、買い先行で始まろう。昨日現地時間午前10時51分に株式取引を停止した薬明生物技術は、本日取引を再開する予定。同社は、米商務省が傘下子会社2社を輸出に注意を要する「未検証者リスト」に追加したことについて、昨日大引け後、同リストからの除外を求める暫定措置を講じていると発表した。同社事業や世界各地の顧客に提供するサービスに重大な悪影響は及ばず、上海と無錫に製造拠点が完成したことで米国から機器を輸入する必要は薄れていると強調した。疑念が一先ず払拭されたことで、昨日の下げの反動で本日は押し目買いが入ろう。
(マーケット支援部 床井)
もみあいか、米中関係の悪化が重石
8日の中国・上海株式市場は続伸した。上海総合指数の終値は前日比23.0479pt(0.67%)高の3,452.6288ptだった。朝方は米中関係の悪化懸念を受け、リスク回避の売りが先行した。その後は大手金融株を中心に押し目買いが入り、指数は午後に入ると上昇に転じた。中国当局による高速通信規格「5G」への産業支援策の進展が好感され、大手通信株が高かった。電力や石炭、運輸株も堅調だった。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は8787億元となった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで8億1800万元の売り越しだった。個別では、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、興業銀行(インダストリアル・バンク、601166)、立訊精密工業(ラクスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが買い越しとなり、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、宜賓五糧液(ウーリャンイェー・イビン、000858)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は前日の米株式市場の上昇を受けて買い先行で始まろう。ただ、米中関係の悪化懸念などが引き続き相場の重石となり、積極的に買い上がるような動きにはならず、もみあいの展開となりそうだ。
(マーケット支援部 床井)