29日の香港株式市場は続落した。ハンセン指数の終値は前週末比228.28pt(0.94%)安の23,852.24ptと、10月6日に付けた年初来安値を更新した。新型コロナウイルスの変異ウイルス「オミクロン型」の感染拡大に対する警戒感が広がった。マカオカジノ産業への規制強化懸念もくすぶり、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めた。中国旅行予約サイト大手の携程集団(トリップドットコム、09961)など、空運や観光関連株の下げが目立った。前週末26日に発表した7~9月期決算が最終赤字に転落した出前アプリの美団(03690)は7%安で終えた。半面、光学部品の舜宇光学科技(サニー・オプティカル・テクノロジー、02382)やスマートフォンの小米(シャオミ、01810)が高く、バイオ医薬品の薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス、02269)が上昇した。香港メーンボードの売買代金は1445億香港ドルと前週末から1割ほど増えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで7億200万香港ドルの買い越しだった。
29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前週末比236ドル60セント(0.7%)高の35,135ドル94セントで終えた。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大への警戒から26日に905ドル安と今年最大の下げとなった反動で買いが優勢だった。目先の反発を見込んだ投資家がハイテクやディフェンシブ株を中心に押し目買いを入れた。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も反発した。前週末比291.177pt(1.9%)高の15,782.834ptで終えた。
30日の香港株式市場でハンセン指数は底堅い展開か。米国市場の反発の流れを引き継ぎ、買いが先行しそうだ。ハンセン指数は節目の23,000pt近辺では下げ渋っており、押し目買い意欲の強さをうかがえよう。
(マーケット支援部 林)
反発か
29日の中国・上海株式市場は3日続落した。上海総合指数の終値は前週末比1.3926pt(0.03%)安の3,562.6968ptだった。南アフリカで確認された新型コロナウイルスの新変異型「オミクロン型」の感染拡大を警戒し、投資家がリスク回避姿勢を強めた。その後は主力株などに買いが入り、次第に下げ幅を縮めた。中国国家統計局が27日発表した1~10月の工業企業利益は前年同期比42.2%増だった。伸び率は1~9月と比べて鈍化したが、相場の反応は限られた。空運や観光関連、不動産株が安く、金融や資源・素材、メディア株も売られた。半面、リチウムイオン電池の価格が2022年に上昇すると伝わり、車載電池の寧徳時代新能源科技(CATL、300750)などバッテリー関連株が高かった。バイオ医薬品や酒造、軍事関連株が上げ、海運や電力株の一角も買われた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで32億8400万元の買い越しだった。個別では、上海璞泰来新能源科技(シャンハイ・プータイライ・ニュー・エナジー・テクノロジー、603659)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、国電南瑞科技(ナリ・テクノロジー、600406)などが売り越しとなった。
30日の中国本土市場は反発か。ゼロコロナ政策を継続する中国にとっては、「オミクロン型」コロナ感染拡大の影響は限定的と意識され、買い戻しが先行しそう。経済指標では、日本時間10:00に中国の11月製造業・非製造業PMIが発表される予定。経済指標の結果次第では値動きが大きくなる可能性もあろう。
(マーケット支援部 林)