30日の香港株式市場は3日続落した。ハンセン指数の終値は前日比376.98pt(1.58%)安の23,475.26ptと、連日で年初来安値を更新した。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の世界的な感染拡大や、変異型への既存ワクチンの有効性が懸念され、幅広い銘柄にリスク回避の売りが出た。マカオのカジノ産業などに対する中国当局の規制不安も相場の重荷となり、下落率は一時2.8%を超えた。電子商取引のアリババ集団(09988)は上場来安値を更新。ネットサービスのテンセント(00700)やゲームの網易(ネットイース、09999)など、中国ネット大手が軒並み売られた。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は同1.15%安だった。香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は前日比55%増の2238億香港ドルで、約4カ月ぶりの多さになった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで11億7000万香港ドルの買い越しだった。
11月30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比652ドル22セント(1.9%)安の34,483ドル72セントとほぼ1カ月半ぶりの安値で終えた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の30日の議会証言を受けて、米金融政策の正常化が想定より早く進むとの見方が強まり、幅広い銘柄に売りが優勢となった。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大の懸念も相場の重荷だった。ハイテク株が多いナスダック総合株価指数は反落し、同245.143pt(1.6%)安の15,537.691ptで終えた。
本日の香港株式市場は底堅い展開か。ハンセン指数は昨日まで月間で7.5%下げており、下落率は7月(9.9%安)以来の大きさとなった。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」への不安感が相場の重荷となるものの、割安感に着目した買いも入りそうだ。
(マーケット支援部 床井)
主要経済指標発表に注目
30日の中国・上海株式市場は4営業日ぶりに小幅に反発した。上海総合指数の終値は前日比1.1904pt(0.03%)高の3,563.8872ptだった。朝方発表の中国の11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を上回って改善し、足元の中国景気が回復しているとの期待が広がって投資家心理を支えた。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の世界での感染拡大に伴って需要増加を見込める海運業を物色する動きがあった。一方、コロナ感染の再拡大で世界景気の回復が遅れれば中国経済にも悪影響を及ぼすとの懸念も根強く、海外投資家に人気が高いとされる時価総額上位の酒造の貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)が3%近く下げた。金融株や資源・素材株もさえなかった。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆2218億元と前日(1兆1775億元)から増え、28日連続で節目の1兆元を上回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで34億1100万元の売り越しだった。個別では、国軒高科(ゴーション・ハイテック、002074)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)、国電南瑞科技(ナリ・テクノロジー、600406)などが売り越しとなった。
本日は11月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表される。景況感の改善が確認されれば、投資家心理の支えとなろう。
(マーケット支援部 床井)