南アフリカで検出された新型コロナウイルスの変異ウイルスへの警戒で、26日の市場では「リスクオフ」の動きが広がった。香港株式市場ではハンセン指数が急落し、中国本土市場では上海総合指数、深セン成分指数ともに上値の重い展開となった。香港政府は25日夜、渡航者2人から南アフリカで確認された新たなコロナ変異株を検出したと発表した。欧州でも感染再拡大に歯止めがかからず、複数の国が行動規制を強化しており、想定外のコロナリスクが再浮上し、警戒感が急速に強まった。2020年春に新型コロナの感染が拡大した際に株式市場は急落後すぐに回復したが、まずは今週もリスクオフが続くか慎重に見る必要があろう。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン」には不明点が多く、感染力や致死率、すでにどれほど広がっているかなどが解明されるまでの間は、先行き不透明感から市場は不安定な動きとなりそうだ。
11月21日に中国人民銀行金融政策委員会のメンバーである劉氏は10~12月のGDP成長率が4%を下回る可能性が高いと発言した。不動産会社の債務不履行懸念が高まる中、金融当局は市場に資金を供給し、短期市場金利の低下を誘導しているようだ。今週は11月30日に中国11月製造業・非製造業PMI、12月1日に11月財新製造業PMI、12月3日に同サービス業PMIが発表される予定。各PMIとも大幅な改善は難しいと思われ、市場金利の低下が下支えとなるか注目されそうだ。
企業決算は、11月29日に中国燃気HD(チャイナ・ガス、00384)と理想汽車(リ・オート、02015)が決算発表を予定している。
【主なスケジュール】
30日 11月中国製造業・非製造業PMI
12月1日 11月財新中国製造業PMI
3日 11月財新中国サービス業PMI
【主な決算発表予定】
29日 中国燃気HD(チャイナ・ガス、00384)、理想汽車(リ・オート、02015)
(マーケット支援部 井上)