今週の中国株式市場は、中国A株市場は現水準でのもみ合い、香港市場は戻りを試す動きが継続か。
不動産関連について、各社のデフォルト懸念はここに来てほぼ織り込み済みの感もある。そのような中、中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会は23日、一部地域を対象に不動産税(固定資産税)を試験的に導入する方針を決めたと伝わった。背景には不動産投機や住宅価格の高騰に手を打つとともに、格差是正を図る中国政府の狙いがあるようだ。不動産関連株については今後その影響がどのように出るかに注目が向かいそうだ。
10月18日に発表された中国の7~9月期GDP成長率は前年同期比4.9%増で、市場予想をやや下回った。9月の小売売上高は前年同月比4.4%増と前月の同2.5%増から回復も、鉱工業生産は同3.1%増、1~9月の都市部固定資産投資は前年同期比7.3%増と共に伸び悩んだ。これを受け、市場では年末にかけて政府の景気テコ入れ策への期待が高まりそうだ。インフラ投資に充当される地方政府特別債券の起債額は8月時点で年間上限の50.5%にとどまる(20年同時期は77.3%)が、9月以降は「予算消化」に向けた起債が進んでいるもよう。経済全体と株式市場の下支え材料になりそうだ。
一方で、新型コロナ感染再拡大の動きには注意が必要か。来年2月4日の北京五輪の開幕まで、27日であと100日となる中、北京市は19日に約70日ぶりとなる市中感染者を確認し、感染者が24日午後までに18人に増えたことを受け、31日に2年ぶりに開催する予定だった北京マラソンの延期を決めたと伝わった。中国は新型コロナウイルスの感染者を1人も見逃さない「ゼロ・コロナ」政策を続けており、感染力の強いデルタ株の再拡大は経済活動の停滞につながる可能性がある。
足もと中国株市場では、10月8日に中国の市場管理当局が発表したフードデリバリー最大手の美団(03690)に対する独占禁止法違反の罰金額が当初の予想を下回ったことをきっかけに、ネット関連株が持ち直す動きが見られている。その動向は相場の地合いにも影響を与えると思われ、引き続き注目されそうだ。今週はA株中心に第3四半期の決算発表がピークを迎える予定。内容を受け、個別銘柄を選別物色する動きも強まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
今週の主なスケジュール
27日
9月工業部門企業利益(前年比)
30日
中国10月製造業・非製造業PMI
主な決算発表予定
25日
科大訊飛(002230)
27日
香港取引所(00388)、歌爾(002241)、珠海格力電器(000651)
28日
中国平安保険(02318)、BYD(01211)、万科企業(02202)
29日
ペトロチャイナ(00857)、三一重工(600031)、内蒙古伊利実業(600887)、海爾智家(600690)
国軒高科(002074)
30日
宝山鋼鉄(600019)、上海汽車集団(600104)、国電南瑞科技(600406)、中国旅遊集団中免(601888)、美的集団(000333)、新希望六和(000876)