10月4日~8日の香港株式市場は方向感に乏しい展開か。中国本土市場が7日まで国慶節で休場。香港市場は通常通りだが、恒大問題や中国の電力不足といった懸念材料を抱え、中国本土の国慶節連休が明けるまでは、積極的には手掛けづらい状況となりそうだ。
1日に始まった中国の国慶節では、直前に新型コロナウイルスの感染が一部地域で発生し、省や市をまたぐ移動を控える動きがあると伝わっている。期間中の国内旅行者数は新型コロナ前の2019年と比べて8割程度にとどまり、個人消費の停滞が鮮明となりそうだとの見方もあるよう。国慶節明けもしくは期間中に発表される各種指標に一喜一憂する場面も想定しておきたい。
9月30日に発表された9月購買担当者景気指標(PMI)は製造業が49.6と、景況感の分岐点である50を昨年2月以来初めて下回り、景況感が悪化していることを示した。政府のカーボンニュートラル政策や石炭生産の抑制で石炭価格が上昇し、一部不採算の発電所が稼働を停止し工場の生産が滞ったことなどが背景にある模様。一方で、同日発表された非製造業PMIは大幅に改善し50を上回った。こちらは新型コロナの影響が後退し小売や外食等の需要が回復、インフラ投資の受注も改善したことが背景にあるようだ。製造業、非製造業まちまちの内容だが、来年2月の北京冬季五輪では中国国内在住者の観戦が可能になったと伝わっており、国慶節後は五輪需要の盛り上がりとインフラ投資が景気の下支えになると思われる。政策期待がどの程度醸成されるかが株価下支えのポイントになりそうだ。
(マーケット支援部 井上)