28日の香港株式市場は続伸した。ハンセン指数の終値は前日比291.61pt(1.20%)高の24,500.39ptだった。中国人民銀行(中央銀行)が27日に「不動産市場の健全な発展を守る」との声明を発表したことを受け、投資家心理が改善した。ストックコネクト取引を通じた中国本土投資家による香港株買いも相場を下支えした。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は大幅に反発し、同2.09%高だった。香港メーンボードの売買代金は1474億香港ドルと、前日から小幅に減った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで58億8800万香港ドルの買い越しだった。
28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比569ドル38セント(1.6%)安の34,299ドル99セントで終えた。米長期金利が一時、6月中旬以来の水準に上昇し、金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすいハイテクなど高PER(株価収益率)銘柄が売られた。米連邦債務の上限問題への懸念も投資家心理を冷やした。ハイテク株が多いナスダック総合株価指数は3日続落し、同423.287pt(2.8%)安の14,546.683ptと8月19日以来の安値で終えた。
本日の香港株式市場は反落か。前日の米国市場で長期金利の上昇を背景にハイテク株を中心に大幅に売られたことを受け、香港市場でもハイテク株などに売り圧力が強まりそうだ。
(マーケット支援部 床井)
電力不足受け、生産活動の低迷が相場を押し下げるか
28日の中国・上海株式市場は3営業日ぶりに反発した。上海総合指数の終値は前日比19.3877pt(0.54%)高の3,602.2184ptと、前日に割り込んだ心理的な節目の3,600台を再び回復した。中国当局が不動産市場の健全な発展を守るとの方針を示し、中国恒大集団をはじめとする不動産企業の債務問題の拡大懸念が後退し、不動産株が急伸した。インフラ関連にも買いが波及し、金融株も軒並み高となった。前日の米原油先物相場の上昇を受け、石油株も大きく上げた。半面、世界的なハイテク株売りの流れは相場の重荷となった。上海の新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」は下落し、終値は1.06%安の1,354.0959ptだった。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆437億元と、前日(1兆3656億元)から2割強減った。売買代金の1兆元超えは48日連続。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで47億8600万元の買い越しだった。個別では、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが買い越しとなり、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・ファーマシューティカルズ、600276)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は売り圧力が強まる展開か。CO2削減の圧力に起因する中国の電力不足で一部地域で重工産業の低迷が懸念されており、全体相場を押し下げる展開となろう。
(マーケット支援部 床井)