27日の香港株式市場でハンセン指数は小反発。終値は前週末比16.62pt(0.06%)高の24,208.78ptだった。前週末の米市場で景気敏感株が買われた流れを引き継ぎ、香港市場でも金融株を中心に景気敏感株に買いが入った。ただ、中国不動産産業の債務問題や中国当局によるネット規制などへの警戒が根強く、指数の上値は限られた。金融株が堅調だったほか、香港の不動産株が高く、中国の医薬品株の上昇も目立った。中国・上海市場への重複上場計画を発表した中国海洋石油(CNOOC、00883)は同5%高で終えた。中国恒大集団(03333)は反発したが、融創中国控股(01918)など他の不動産企業にも債務問題が広がるとの懸念が強まり、中国の不動産株は軒並み売られた。香港上場のハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は下落し、終値は同0.91%安の6103.89pt。中国電子商取引(EC)最大手アリババ集団(09988)が上場来安値を更新した。香港のメーンボードの売買代金は1489億香港ドルと、前週末(1475億香港ドル)からやや増えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで26億7900万香港ドルの買い越しだった。
27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前週末比71ドル37セント(0.2%)高の34,869ドル37セントで終えた。米国で新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあるなか、景気減速の懸念が薄れた。米長期金利や原油価格の上昇などを受け、グロース(成長)株から景気敏感株に資金を移す流れが強まった。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前週末比77.729pt(0.5%)安の14,969.970ptで終えた。
28日の香港株式市場でハンセン指数は一進一退の展開か。中国恒大集団問題については、中国人民銀行(中央銀行)が、中国恒大集団の債務危機が世界の市場に影響を及ぼしたことを受け、「健全な不動産市場」を守ると表明したと伝わったことを受け、ひとまず不安感が一服する流れと思われる。一方で、中国はハイテク企業の「無秩序な拡大」をさらに抑制するといった情報当局幹部の発言が伝わっており、関連銘柄の上値抑制要因となりそうだ。昨日、ストックコネクト取引で大幅買い越しとなったテンセント(00700)や美団(メイトゥアン、03690)などが底堅さを見せられるか注目されそうだ。
(マーケット支援部 井上)
上値の重い展開か
27日の中国・上海株式市場は続落した。上海総合指数の終値は前週末比30.2366pt(0.83%)安の3,582.8307ptだった。上昇して始まったが、中国恒大集団など不動産大手の経営不安や、国内各地での電力不足による悪影響への警戒は根強く、次第に売りが優勢になった。指数は同1.5%近く下げる場面もあった。海運株が安く、不動産株の下げも目立った。機械や鉄鋼、化学も売られた。半面、白酒関連株が商いを伴って買われた。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆3656億元。前週末から小幅に増え、節目の1兆元を47日連続で上回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで14億7600万元の買い越し。個別では、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)などが買い越しとなり、江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・メディシン、600276)、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)などが売り越しとなった。
28日の中国本土市場はもみ合いか。日本時間10:30に8月の工業企業利益が発表される予定。足もとで中国の電力規制が製造業の生産ラインに影響を及ぼす事例が出ていることもあり、内容に注目する向きは多そうだ。
(マーケット支援部 井上)