17日の香港株式市場でハンセン指数は4日続落。終値は前日比435.59pt(1.66%)安の25,745.87ptと、心理的な節目の26,000ptを割り込み、7月28日以来およそ3週間ぶりの安値を付けた。中国当局によるネット産業への規制強化懸念が高まり、時価総額の大きなハイテク大手を中心に売りが広がった。香港ドルの対米ドルでの下落などを背景に香港からの資金流出懸念も強まり、指数は午後に下げ幅を広げた。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」の終値は3.13%安の6218.89ptと、2020年7月の指数算出以来の安値を更新した。中国ネットサービスの騰訊控股(テンセント)が4%超下落。中国電子商取引(EC)最大手アリババ集団は5%近く下げて年初来安値を付けた。香港取引所が大幅に下げ、不動産株や資源株、公益株なども軒並み売られた。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1661億香港ドルと、約2週間ぶりの高水準だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで47億3100万香港ドルの売り越しだった。
17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反落し、前日比282ドル12セント(0.8%)安の35,343ドル28セントで終えた。朝方発表の7月の米小売売上高が市場予想より減少した。米景気回復の鈍化が懸念され、小売り株や景気敏感株を中心に売られた。ダウ平均は前日までに連日で過去最高値を更新しており、高値警戒感の売りも出やすかった。
7月の小売売上高は前月比1.1%減と市場予想(0.3%減)より落ち込んだ。経済再開や米政府の大規模な経済対策で回復してきた消費が減速し始めたと受け止められた。新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染拡大によって「8月はサービスを中心に売上高が急速に減る可能性がある」(パンセオン・マクロエコノミクス)と指摘された。個人消費は米実質国内総生産(GDP)の7割を占めるだけに、米景気回復の不透明感が増した。
本日の香港市場は米株安の流れを引き継ぎ売りが先行するか。前日のNY株式市場でダウ平均とS&P500は6営業日ぶりに反落し、ハイテク株主体のナスダック総合は2日続落した。中国経済指標の悪化で世界経済の減速懸念が強まる中、米7月小売売上高が予想以上に悪化したことが嫌気された。引き続き、決算発表や業績見通しを手掛かりにした個別銘柄の売買が活発になると予想。今日はハンセン指数構成銘柄のテンセント(00700)や吉利汽車(00175)が決算発表を予定している。
(マーケット支援部 松川)
景気回復期待の後退が上値の重しか
17日の中国・上海株式相場は大幅に反落した。上海総合指数の終値は前日比70.3687pt(2.00%)安の3,446.9760ptだった。中国の証券規制当局が不当な競争や個人情報の利用を制限する草案を発表し、ネット大手への規制強化懸念が高まった。投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めた。アジア各国の新型コロナウイルスの感染拡大や中国経済の減速懸念も重荷となった。
本土市場で時価総額最大の白酒の貴州茅台酒が大幅安。医薬や自動車、半導体関連、家電株が下落した。保険や観光関連株が売られた。上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」は大幅に続落し、2.49%安だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで14億7500万元の買い越しだった。個別では、美的集団(ミデアグループ、000333)などが買い越しとなり、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は上値が重い展開か。中国当局が17日に不当な競争を制限する草案を発表したことでネット大手への規制強化懸念が高まっているほか、中国を含めた世界的な新型コロナウイルスの再拡大も引き続き投資家心理を冷やしている。
(マーケット支援部 松川)