16日の香港株式市場は3日続落。ハンセン指数の終値は前週末比210.16pt(0.79%)安の26,181.46ptだった。8月6日以来の安値。前週末の米株高を受けて小幅に上げる場面もあったが、中国当局の規制への不安は強く、次第に売りに押された。同日発表の中国の複数の経済指標が市場予想を下回り景気減速懸念が意識されると、指数は一段安となった。香港上場のハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は4日続落し前週末比2.57%安。香港メーンボードの売買代金は1339億香港ドルと、前週末から小幅に増えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで56億3100万香港ドルの売り越しだった。
16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸し、前週末比110ドル02セント(0.3%)高の35,625ドル40セントで終えた。中国の景気減速懸念やアフガニスタンでの地政学リスクの高まりから売りが先行した。ただ、値ごろ感などからヘルスケア関連株が物色されたほか、今週に相次ぐ小売りの決算発表に期待した買いも入り、ダウ平均は午後に上げに転じ、この日の高値圏で取引を終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は5日続伸し、前週末比11.71pt(0.3%)高の4,479.71ptで終え、連日で過去最高値を更新した。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前週末比29.136pt(0.2%)安の14,793.762ptで終えた。
17日の香港株式市場でハンセン指数は反発か。前日まで3日続落していたことで自律反発狙いの買いが入りそうだ。昨日発表の中国の7月主要経済指標は総じて低調だったが、中国本土市場では中国政府による景気支援策への思惑に繋がっているようで、本土市場が確りの動きとなれば、香港市場も底堅い動きが期待できよう。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大へ警戒感や中国当局の規制に対する懸念は引き続き上値抑制要因として意識されよう。新型コロナウイルスの再拡大をうけた移動制限が響き、中国旅行業界では「夏休みの需要が7割消えた」との試算もあると伝わっており、関連銘柄の動向に注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
中国政府による景気支援策への思惑が支えとなろう
16日の中国・上海株式市場は3営業日ぶりに小反発した。上海総合指数の終値は前週末比1.0458pt(0.02%)高の3,517.3447ptだった。朝方発表の中国の7月主要経済指標が総じて低調だったことが、中国政府による景気支援策への思惑を誘った。朝方発表の主要都市の新築住宅価格の上昇や不動産投資の伸びが鈍化し、当局による不動産業界への引き締めが緩和されるとの期待から不動産株が大幅に上昇。運輸株、観光株、電力株や公益関連にも買いが入った。もっとも、中国での新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染拡大が続くなか、中国景気の回復鈍化を警戒する売りも出やすく、酒造株や金属株が売られた。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆2570億元と前週末(1兆2971億元)からやや減った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで62億200万元の買い越し。個別では、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、美的集団(ミデアグループ、000333)などが買い越しとなり、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)などが売り越しとなった。
17日の中国本土市場は確りの展開か。昨日発表された7月主要経済指標は総じて低調だったことが、中国政府による景気支援策への思惑を誘う形となっているよう。政策期待が下支えとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)