週明け9日の香港株式市場で、ハンセン指数は3営業日ぶりに反発。終値は前営業日比0.40%高の26,283.40ptだった。ハンセン指数は安く始まったが、売り一巡後は上げに転じた。始値で心理的節目の26,000ptを割り込んだことで、自律反発狙いの買いが入った。寄り付き後に中国国家統計局が発表した7月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)はともに市場予想から上振れ、中国の景気減速に対する警戒感が後退した。セクター別では、不動産・建設と金融が上げた一方で素材と一般消費財が下げた。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は同0.48%安の6,664.91ptと3日続落した。中国中央電視台(CCTV)が6日、自動車用半導体を巡る投機行為や価格の吊り上げなどを批判したことが嫌気され、中国半導体ファウンドリーのSMIC(00981)と華虹半導体(01347)がそろって急落した。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで34億4800万香港ドルの買い越し。メインボードの売買代金は概算で1475億香港ドルだった。
9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前週末比106ドル66セント(0.3%)安の35,101ドル85セントで終えた。中国など世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受け、景気の不透明感を嫌気した売りが優勢だった。ダウ平均は前週末に過去最高値を付けた後とあって短期的な利益確定の売りも出やすかった。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、前週末比24.415pt(0.2%)高の14,860.177ptで終えた。
10日の香港株式市場でハンセン指数は上値の重い展開か。中国の新型コロナウイルス感染再拡大や中国当局による規制への警戒が上値を抑えよう。ハンセン指数は26,000ptを維持できるかがポイントとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
海外投資家の売買動向に注目が集まろう
週明け9日の中国本土株式市場で、上海総合指数は3営業日ぶりに反発。終値は前営業日比1.05%高の3,494.63ptだった。深セン成分指数は同0.77%高の14,941.44pt。上海、深セン両市場の売買代金は概算で1兆2490億2300万元だった。上海総合指数は国内で新型コロナウイルスの新規感染者数が半年ぶりの高水準で推移していることや、週末に発表された7月の貿易統計が予想を下回ったことを嫌気して売りが先行。ただ、寄り付きとほぼ同時に発表された7月の物価統計の予想上振れを好感してほどなくしてプラス圏へ切り返した。指数はじりじりと上げ幅を広げ、後場は心理的節目の3,500ptを上回る場面もあったが、節目付近では上値の重さが目立った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで44億6600万元の買い越し。個別では、江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・メディシン、600276)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが買い越しとなり、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、国軒高科(ゴーション・ハイテック、002074)などが売り越しとなった。
10日の中国本土市場は方向感に乏しい展開か。外資系証券がデルタ型のまん延による行動規制に伴い、2021年7~9月期の中国の実質国内総生産(GDP)の伸び率を大幅に下方修正し、年間の成長率予想も引き下げたと伝わっており、海外投資家の売買動向に注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)