30日の香港株式市場は反落した。ハンセン指数の終値は前日比354.29pt(1.34%)安の25,961.03ptだった。中国当局が企業活動への規制を強めるとの懸念が引き続き、投資家心理の重荷となった。月末とあって、利益確定や持ち高調整目的の売りも出やすかった。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は大幅反落し、同2.55%安だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで15億9600万香港ドルの売り越しだった。香港メーンボードの売買代金は1896億香港ドルと、前日から2割超減った。ハンセン指数は月間では9.9%安だった。下落率は人民元安や米中対立、中国経済減速への懸念が高まり、中国本土と香港の株式相場が大きく下げた2018年10月以来の大きさだった。ハンセンテック指数は16.9%安と、20年7月の指数公表開始以来で最大の下落率だった。
30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比149ドル06セント(0.4%)安の34,935ドル47セントで終えた。29日夕に四半期決算を発表したネット通販のアマゾン・ドット・コムが急落し、投資家心理が悪化。主力ハイテク株に売りが波及したほか、月末とあって持ち高調整の売りが景気敏感株の一角に目立った。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反落し、同105.586pt(0.7%)安の14,672.678ptで終えた。
本日の香港株式市場は軟調な展開か。米証券取引委員会(SEC)は米国時間30日、中国企業に対して中国政府が事業に介入するリスクを開示しない限り米国での上場を認めない考えを示した。また、中国国家統計局は31日、7月の製造業購買担当者指数(PMI)が50.4であったと発表。前月の50.9から低下し、2020年2月以来の低水準となった。こうしたことから本日は軟調な展開を予想する。ただ、個別銘柄では売られ過ぎからの反発は期待できよう。
(マーケット支援部 床井)
コロナ感染拡大を警戒しながら神経質な値動きか
30日の中国・上海株式市場は反落した。上海総合指数の終値は前日比14.3666pt(0.42%)安の3,397.3574ptと、前日に回復した心理的な節目の3400を再び下回った。中国当局による規制強化懸念からこの日の香港市場で中国のネット大手が売られ、上海市場でも海外投資家の中国株離れへの警戒が高まった。中国国内で新型コロナウイルスの感染が増え始めていることも投資家心理の重荷となった。半面、資源・素材株が買われ、鉄鋼株が急伸した。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆3396億元と前日(1兆2494億元)から1割弱増えた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで22億4800万元の買い越しだった。個別では、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)、三安光電(サナン・オプトエレクトロニックス、600703)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、北京兆易創新科技(ギガ・デバイス・セミコンダクター、603986)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は、コロナ感染拡大を警戒しながら神経質な値動きか。中国本土で新型コロナウイルス感染拡大の不安が強まっている。現地メディアによれば、7月20~31日までに、20都市以上で300人を超える感染者が確認された。また、先週末(7月31日)公表された7月の製造業PMI(国家統計局などが集計)は50.4となり、市場予想(50.8)以上に6月実績(50.9)から低下し、昨年2月以来の水準に低迷した。 なお、中国PMIの大幅な下振れに関しては、景気懸念が強まる半面、当局の景気対策に対する期待感にもつながる。今後の政策動向が注目されよう。
(マーケット支援部 床井)