28日の香港株式市場でハンセン指数は4営業日ぶりに反発した。終値は前日比387.45pt(1.54%)高の25,473.88ptだった。指数が前日までの3日続落で10%近く下げていただけに、短期的な自律反発を期待する買いが優勢となった。ただ、中国政府による規制強化への警戒は根強く、指数は終日、前日終値を挟みもみあった。前日に過去最安値を付けた香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は大幅反発し、終値は同3.09%高の6,443.31ptだった。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は2813億香港ドルと、過去最高だった前日(3606億香港ドル)から2割強減った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで133億4300万香港ドルの売り越しだった。
28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比127ドル59セント(0.4%)安の34,930ドル93セントで終えた。新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染拡大による世界経済の先行き懸念から売りが優勢になった。米連邦準備理事会(FRB)は28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決めた。FRBのパウエル議長は会合後の記者会見でテーパリング(量的緩和の縮小)の開始に向けて「今後複数の会合で経済情勢の進捗を確認する」と表明した。おおむね想定の範囲内だったため、株式市場の反応は限られた。一方、ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、同102.008pt(0.7%)高の14,762.584ptで終えた。前日に好決算を発表した銘柄が買われ、指数を押し上げた。
本日の香港株式市場は高寄り後上値の重い展開か。ハンセン指数は、昨年11月以来の安値水準にあることや米株式市場でナスダック総合株価指数が反発したことなどを受け、寄り付きはハイテク株を中心に買いが入ることを予想する。ただ、各分野に対する中国当局の引き締め懸念が根強いことから、買い上げる勢いも限定的と思われ、上値の重い展開となろう。
(マーケット支援部 床井)
値ごろ感の出た銘柄を買い戻す動きか
28日の中国・上海株式市場は4日続落した。上海総合指数の終値は前日比19.5938pt(0.57%)安の3,361.5895ptだった。中国当局の規制強化への警戒感が続いており、リスク回避姿勢を強めた投資家の売りが出た。取引時間中は下落率が一時2%を超え、3月に付けた年初来安値を下回る場面もあった。国際通貨基金(IMF)が27日、2021年の中国の経済成長率見通しを引き下げたのも相場の重荷になった。上海と深セン市場の合計売買代金は、節目の1兆元を6営業日連続で上回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで80億5200万元の買い越しだった。個別では、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・メディシン、600276)、北京東方雨虹防水技術(ベイジン・オリエンタル・ユーホン・ウォータープルーフ・テクノロジー、002271)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は、上海総合指数が前日に約4カ月ぶりの安値を付けたこともあり、自律反発が期待されよう。値ごろ感の出た銘柄を中心に買い戻す動きが強まろう。
(マーケット支援部 床井)