26日の香港株式市場は大幅続落。ハンセン指数の終値は前週末比1,129.66pt(4.13%)安の26,192.32ptで、年初来安値を更新した。中国当局の規制強化を嫌気し、ネット大手などの主力株が軒並み安となった。1日の下落幅と下落率はともに2020年5月22日以来、およそ1年2カ月ぶりの大きさだった。ネットサービスのテンセント(00700)が急落。音楽配信会社の買収について、当局が独占禁止法での処分を決めたことが重荷となった。データ利用状況の監視強化が伝わり、電子商取引のアリババ集団(09988)や出前サイトの美団(メイトゥアン、03690)も大幅安となった。香港上場のハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は前日比6.56%安。算出が始まった20年7月27日以来、約1年ぶりの水準に下げた。香港メーンボードの売買代金は2682億香港ドルと前週末から92%増え、約3カ月半ぶりの多さになった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで63億3300万香港ドルの売り越しだった。
26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続伸し、前週末比82ドル76セント(0.2%)高の35,144ドル31セントと過去最高値を更新した。朝方は中国当局によるネット企業などへの規制強化を懸念した売りが先行した。もっとも、今週は主力ハイテク株を中心に米企業の決算発表がピークを迎えるため、好決算を期待した買いが次第に優勢になった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は小幅に5日続伸し、前週末比3.722pt高の14,840.713pt、多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は前週末比10.51pt(0.2%)高の4,422.30ptと、ともに過去最高値を更新した。
27日の香港株式市場で、ハンセン指数は落ち着き処を探る展開を想定。中国当局の規制強化を背景に軟調推移となっているネット関連や教育関連株の動向が全体の地合いを左右する流れとなりそうだ。当局の政策が逆風になっている銘柄群と追い風になっている銘柄群を見極めながらの選別物色が進もう。昨日逆行高となった中芯国際集成電路製造(SMIC、00981)や華虹半導体(01347)など半導体関連銘柄の動向にも注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
弱含みの展開か
26日の中国・上海株式市場は大幅に続落した。上海総合指数の終値は前週末比82.9555pt(2.33%)安の3,467.4409ptだった。心理的節目の3,500ptを下回って終え、5月13日以来およそ2カ月半ぶりの安値を付けた。中国当局がネット大手や教育産業に対する規制を相次いで強化していることへの懸念から、運用リスクを回避する雰囲気が広がった。海外投資家による本土株売りも相場の重荷となった。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆4189億元。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで128億200万元の売り越しだった。個別では、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ、000725)などが売り越しとなった。
27日の中国本土株式市場は神経質な展開か。市場には、海外投資家が中国当局の規制リスクを消化するにはしばらく時間がかかるとの見方もあるようだ。ストックコネクト取引を通じた海外投資家の売買動向に注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)