23日の香港株式市場で、ハンセン指数は反落。終値は前日比1.45%安の27,321.98ptだった。ハンセン指数は小高く寄り付いた直後、マイナス圏に沈んだ。終盤に下げ幅を広げ、全セクターで売りが優勢となった。朝方は米国の長期金利の低下と株高を受けた買いが先行したものの、次第に中国本土相場の下落を受けて投資家心理が悪化。中国政府による大手ネット企業への監督強化も引き続き警戒された。中国当局が米上場の中国配車アプリ大手、滴滴出行に対し「前例のない厳罰」を検討中と伝わった。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は前日比2.96%安の7268.14ptと大幅に反落した。メインボードの売買代金は概算で1395億7000万HKドル。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで48億7300万香港ドルの売り越しだった。
23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比238ドル20セント(0.7%)高の35,061ドル55セントと過去最高値を更新して終えた。35,000ドルを超えるのは初めて。経済活動の再開を追い風に市場予想を上回る好決算が相次ぎ、投資家のリスク選好姿勢が強まった。消費関連やハイテク株などの上昇が目立った。市場では「米主要企業の決算が想定以上に強く、新型コロナウイルスの感染再拡大で冷え込んでいた投資家心理が大きく持ち直した」との指摘があった。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸し、前日比152.394pt(1.0%)高の14,836.991ptで終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も4日続伸し、終値は前日比44.31pt(1.0%)高の4,411.79ptだった。
26日の香港株式市場でハンセン指数は一進一退の展開か。23日に米国市場では主要指数がそろって最高値を更新したことが香港市場でも追い風となろう。一方で、中国当局による規制への警戒感が上値抑制要因として意識されそうだ。独占禁止法などを管轄する国家市場監督管理総局は24日、テンセント(00700)に対し、音楽配信事業で楽曲の独占的利用を是正するよう命じた。同社は7月上旬にゲーム動画の配信事業でも指導を受けており、事業戦略の修正を余儀なくされている。同社ADRは先週末の米国市場で前日比3.9%の下落となっており、香港市場でもその動向に注目が集まろう。また、中国共産党と国務院(政府)は小中学生を対象とした学習塾への規制策を24日に公表した。これに先立ち、23日の米国市場ではTALエデュケーションADR(TAL)やニュー・オリエンタル・エデュケーションADR(EDU)など関連銘柄が大幅安となっており、香港市場でも同様の動きが広がりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
弱含みの展開か
23日の中国本土株式市場で、上海総合指数は3日ぶりに反落し、終値は前日比0.68%安の3,550.40pt、深セン成分指数は同1.53%安の15,028.57ptだった。上海総合指数は小安く寄り付いた後、終始マイナス圏で軟調に推移した。前場の終盤に入り、下げ幅をさらに拡大。後場になってからは同水準でもみ合いを続け、結局そのまま取引を終えた。目新しい買い材料が見当たらない中、中国当局のネット企業などに対する統制強化への警戒感などが投資家心理を冷やしたもよう。セクター別では、食品・飲料や家電、医薬品・バイオなどが大きく売られた。半面、軍需関連や証券などが堅調だった。上海、深セン両市場の売買代金は概算で1兆3786億8900万元だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで46億5900万元の売り越しだった。個別では、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、歌爾(ゴーテック、002241)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが買い越しとなり、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)、京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ、000725)などが売り越しとなった。
26日の中国本土市場は弱含みの展開を想定。上海では、台風6号の影響で交通がマヒし、当局は約36万人を避難させたと伝わっており、様子見ムードの強まりが予想される。政策に対する警戒感が上値を抑える展開となりそうだ。
(マーケット支援部 井上)