8日の香港株式市場でハンセン指数は8日続落。終値は前日比807.49pt(2.88%)安の27,153.13ptと、2020年12月30日以来およそ7カ月ぶりの安値を付けた。中国当局のネット産業や海外上場に対する規制強化を嫌気し、時価総額の大きな中国のネット株を中心にほぼ全面安となった。指数は午後に下げ幅を広げ、この日の安値圏で引けた。ハンセン指数の下落率は2月26日(3.63%)以来の大きさとなり、8日続落は15年12月以来約5年半ぶりの続落記録となった。ハンセン指数を構成する58銘柄のうち、9割強に当たる55銘柄が売られた。香港上場のハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は前日比3.70%安の7,321.98ptだった。中国当局から独占禁止法違反で罰金を科された中国電子商取引最大手アリババ集団(09988)と中国ネットサービスのテンセント(00700)が、それぞれ約4%下げた。香港のメーンボードの売買代金は2052億香港ドルとほぼ3週間ぶりの高水準。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで59億4600万香港ドルの売り越しだった。
8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比259ドル86セント(0.7%)安の34,421ドル93セントで取引を終えた。世界で新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、景気回復が遅れかねないとの見方が強まった。米長期金利の低下も米景気の減速懸念を高め、景気敏感株や金融株を中心に売られた。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反落し、前日比105.278pt(0.7%)安の14,559.785ptで終えた。
9日の香港市場でハンセン指数は神経質な展開か。昨日のストックコネクト取引でも大幅売り越しとなったテンセント(00700)や美団(メイトゥアン、03690)等ネット企業の動向がセンチメントを左右する流れとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
物価統計の内容によっては、政府の景気対策に期待が高まる可能性も
上海総合指数の終値は前日比28.2116pt(0.79%)安の3,525.5039ptだった。朝方は小幅高だったが、すぐに下落に転じ下げ幅を広げた。中国当局が証券市場などへの規制を強化していることが引き続き嫌気された。 中国国務院(政府)が検討する、預金準備率の引き下げなど緩和的な金融政策は効果が限られるとの見方が市場では多く、9日に中国の6月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)の発表を控え、持ち高調整の売りも出やすかった。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆1971億元と前日から1割超増え、2月下旬以来の多さになった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで17億100万元の売り越しだった。
個別では、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)などが買い越しとなり、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが売り越しとなった。
9日の中国本土市場は方向感に乏しい展開か。日本時間10:30に発表される6月の物価統計の内容によっては、政府の景気対策に期待が高まる可能性も想定しておきたい。
(マーケット支援部 井上)