9日の香港株式市場は9営業日ぶりに反発した。ハンセン指数の終値は前日比191.41pt(0.70%)高の27,344.54ptだった。前日の米株安や中国当局によるネット大手への規制強化懸念が投資家心理を冷やし、香港市場でも朝方は売りが先行した。ただ、指数は前日までに8日続落し、7%超下落していたため、売り一巡後は押し目買いが優勢となった。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は8営業日ぶりに反発し、前日比1.46%高だった。香港メーンボードの売買代金は1867億香港ドルと、前日から1割弱減った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで32億9600万香港ドルの買い越しだった。
9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比448ドル23セント(1.30%)高の34,870ドル16セントと大幅反発し、過去最高値を更新した。8日まで低下していた米長期金利が上昇に転じ、金融株や景気敏感株を中心に株価が上昇した。ハイテク株の多いナスダック総合指数も最高値を更新した。
12日の香港市場でハンセン指数は続伸か。前週末9日の米株式市場が上昇した流れを受け、買い先行のスタートとなりそうだ。また、中国の預金準備率引き下げも好感されそうだ。中国人民銀行(中央銀行)は9日、金融機関の預金準備率を15日付で0.5%引き下げると発表した(すでに預金準備率が5%に設定されている金融機関は対象外)。引き下げ後、金融機関の加重平均預金準備率は8.9%となり、市場では金融機関が貸し出せる長期資金が約1兆元増加すると見込まれているようだ。7/15発表予定の中国4-6月GDP成長率について、市場の一部では7%台の成長率になるとの見通しが出ていることに加え、年後半にかけて中国の成長が減速すると見込む向きも増えているよう。統計発表前の預金準備率の引き下げは、当局が事前に対策を打って来たとも捉えられるが、株式市場にとっては、まずは好材料として受け止められそうだ。
(マーケット支援部 井上)
堅調な展開か
9日の中国・上海株式市場は小幅に続落した。上海総合指数の終値は前日比1.4158pt(0.04%)安の3,524.0881ptだった。世界での新型コロナウイルスの感染再拡大を背景とした世界景気の回復遅れが、中国経済にも悪影響を与えるとの警戒が強まった。中国当局によるネット産業への規制強化懸念からハイテク株に売りが出たことも、投資家心理を冷やした。上海・深圳両市場を合わせた売買代金は1兆1276億元と、前日(1兆1971億元)からやや減った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで2億1100万元の売り越し。個別では、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)などが買い越しとなり、歌爾(ゴーテック、002241)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが売り越しとなった。
12日の中国本土市場は堅調な展開か。週末の発表された預金準備率の引き下げを好感する動きとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)