中国返還記念日の休場明け2日の香港株式市場でハンセン指数は4日続落し、終値は前営業日比517.53pt(1.79%)安の28,310.42ptと、6月22日以来およそ1週間半ぶりの安値を付けた。6月の米雇用統計の発表を米国時間2日に控え、模様眺め気分が強かった。1日の中国共産党の創立100周年の記念式典で、習近平(シー・ジンピン)国家主席が対外的な強硬姿勢を示したことも中国の対外関係の悪化懸念を誘い、指数は午後に一段安となった。ハンセン指数を構成する58銘柄のうち、7割超に当たる43銘柄が下落。香港上場のハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は前日比3.22%安の7,892.40ptだった。香港のメーンボードの売買代金は1758億香港ドルと2週間ぶりの高水準だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで70億4500万香港ドルの売り越しだった。
2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比152ドル82セント(0.4%)高の34,786ドル35セントと2カ月ぶりに過去最高値を更新した。朝方発表の6月の米雇用統計は米連邦準備理事会(FRB)がテーパリング(量的緩和の縮小)を早めるほどの内容ではないと受け止められ、米長期金利が低下し、ハイテクなど高PER銘柄を中心に買いが優勢となった。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、前日比116.949pt(0.8%)高の14,639.325ptと、3日ぶりに過去最高値を更新。多くの機関投資家が運用指標にするS&P500種株価指数は7日続伸し、前日比32.40pt(0.8%)高の4,352.34ptと連日で過去最高値を更新した。
5日の香港市場でハンセン指数は上値の重い展開か。前週末2日の米国市場が堅調展開だった流れを受け買い先行のスタートが予想されるも上値は限定的か。中国当局のネット企業に対する規制強化の動きが投資家心理の重荷となりそうだ。中国のネット規制当局は4日、中国配車アプリ最大手、滴滴出行(ディディ)のアプリで個人情報の収集と利用に関する法律や規則の重大な違反を確認したと発表し、スマートフォンアプリのダウンロードの停止を命じた。当局による中国ネット企業に対する規制は目新しい話ではないものの、本日は他のネット企業についても警戒材料として意識されそうだ。経済指標では、日本時間10:45に中国6月財新非製造業PMIが発表される予定。先に発表されているPMIが低下傾向にあり、中国経済の回復に息切れ感も出ていることから、内容によっては値動きが大きくなる可能性もあろう。
(マーケット支援部 井上)
神経質な展開か。海外投資家の売買動向に注目
2日の中国・上海株式市場は大幅に続落した。上海総合指数の終値は前日比70.0221pt(1.95%)安の3,518.7595pt、深セン株式市場の総合指数は前日比1.86%安、新興企業が主体の創業板指数は同3.51%安となった。前日までに発表された6月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が政府版・民間版ともに前月から低下し、中国景気の回復鈍化に対する警戒感が高まった。人民元安も投資家心理の重荷となり、下落率は一時2%を超える場面もあった。1日に中国共産党創立100年の記念式典を終え、重要イベントを通過したことから、海外投資家を中心に持ち高調整の売りが膨らんだ。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで86億400万元の売り越し。個別では、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・メディシン、600276)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)などが売り越しとなった。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆28億元と、前日から約2%減った。
5日の中国本土市場は神経質な展開か。先週末大幅売り越しとなった海外投資家の売買動向に注目が集まろう。社債市場で、債務不履行(デフォルト)が広がっていると伝わっていることも懸念材料となりそうで、神経質な動きとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)