25日の香港株式市場は3日続伸。ハンセン指数の終値は前日比405.76pt(1.40%)高の29,288.22ptと、6月2日以来およそ3週間ぶりの高値を付け、心理的節目の29,000pt台を回復した。インフラ投資への期待から24日の米国株式相場が上昇し、投資家心理が強気に傾いた。25日の上海株高や、ストックコネクト取引を通じた本土投資家資金の流入も相場の支えとなった。指数は徐々に上げ幅を拡大し、この日の高値圏で引けた。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数も3日続伸し、前日比2.43%高だった。香港メーンボードの売買代金は1570億香港ドルと、前日から2割弱増えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで35億7400万香港ドルの買い越しだった。
25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比237ドル02セント(0.7%)高の34,433ドル84セントで終えた。前日夕に好決算を発表したスポーツ用品のナイキが急伸し、ダウ平均をけん引した。株主還元策の強化への期待から金融株が買われたのも相場を押し上げた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は続伸し、前日比14.21pt(0.3%)高の4,280.70ptと連日で過去最高値を更新した。一方、ナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反落し、前日比9.321pt(0.1%)安の14,360.388ptで終えた。25日の米債券市場で長期金利が上昇し、このところ上昇基調にあった高PERのハイテク株の一角が売りに押された。
28日の香港市場でハンセン指数はもみ合いか。利益確定売りをこなしながら、29,000pt台を維持できるか注目されよう。米国では長期金利の上昇からハイテク株は見送られる格好とはなったものの、インフレ懸念には繋がっておらず、売り材料にはならないと思われる。ストックコネクト取引を通じた本土投資家資金の流入が続けば、底堅い動きが期待できそうだ。
(マーケット支援部 井上)
不均衡な回復を示した工業利益を背景に選別物色が進む展開か
25日の中国・上海株式相場は5日続伸した。上海総合指数の終値は前日比40.9079pt(1.14%)高の3,607.5618ptと、心理的な節目の3,600pt台を回復し、10日以来およそ2週間ぶりの高値を付けた。前日の米国株やこの日の香港株など海外株式相場の上昇を背景に、リスクを選好しやすくなった海外投資家の資金が中国株式市場に流入するとの期待が強まった。海外株と連動しやすいハイテク株が買われ、指数は午後に上げ幅を拡大した。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆544億元と前日(1兆129億元)からやや増えた。深セン総合指数の終値は前日比1.10%高の2442.082だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで141億300万元の買い越し。個別では、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)などが買い越しとなり、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、美的集団(ミデア・グループ、000333)、 瀘州老窖(ルーヂョウ・ラオジャオ、000568)などが売り越しとなった。
28日の中国本土市場は個別銘柄中心の展開か。中国国家統計局が27日に発表した5月の工業利益は前年同月比36.4%増(4月は57%増)、1-5月では前年同期比83.4%増(1-4月は同106.1%増)と、5月も利益を増やしたものの、伸び率は鈍化した。前年同月との比較で生じるベース効果が後退したほか、コスト増も響いたようで、商品価格の上昇が原材料など上流部門には利益の押し上げ要因となったが、下流部門は調達コストの上昇で利益が圧迫された恰好となった。統計局エコノミストは企業規模の違いで利益の伸びに差が生じ、依然として回復は不均衡だと指摘しており、株式市場では銘柄を選別物色する動きに繋がりそうだ。
(マーケット支援部 井上)