31日の香港株式市場は小幅続伸。ハンセン指数は前週末比27.39pt(0.09%)高の29,151.80ptで取引を終了した。中国政府系メディアが相次いで人民元高に警戒感を示し、中国の景気の先行きへの不透明感もあって朝方はリスク回避の売りが先行したものの、中国国営の新華社が同日午後、習近平(シー・ジンピン)国家主席が主催する中国共産党中央政治局会議で、夫婦1組あたり3人までの子供を認める方針を示したと報じ、中国本土の粉ミルクメーカーなど内需株を中心に買いが増えた。香港メーンボードの売買代金は1522億香港ドルと、前週末から1割ほど減った。ハンセン指数は5月月間では1.5%上昇した。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで9億4800万香港ドルの売り越しだった。
31日の香港市場でハンセン指数は中国本土市場の動向を睨みながらの展開か。中国人民銀行(中央銀行)による外貨の預金準備率引き上げが伝わっており、その影響を見極めたいといったムードが強まろう。経済指標では、日本時間10時45分に財新中国製造業PMI(5月)が発表される予定となっている。
(マーケット支援部 井上)
方向感を探る展開か
31日の中国・上海株式相場は反発。上海総合指数の終値は前週末比14.6929pt(0.40%)高の3615.4773ptと、2月下旬以来約3カ月ぶりの高値を付けた。朝方発表の中国の5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月から低下し、中国経済の回復鈍化を警戒する売りも出やすかったが、海外市場でのハイテク株高や、習近平(シー・ジンピン)国家主席が示した科学技術の強化方針などを手がかりにハイテク株が買われ、指数は午後に上げに転じた。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆93億元と前週末(1兆161億元)からやや減ったが高水準が続いた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで52億1200万元の買い越し。個別では、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、美的集団(ミデア・グループ、000333)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが買い越しとなり、京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ、000725)などが売り越しとなった。
31日の中国本土市場は方向感を探る展開か。中国人民銀行(中央銀行)は5月31日、金融機関の流動性管理を強化するため、外貨の預金準備率を引き上げると発表した。6月15日付で現行の5%から7%へ2pt引き上げる。香港現地メディアによると、外貨預金準備率の引き上げは14年ぶり。中国本土の米ドル流動性を一部吸収することで、過度な人民元相場を押し上げる圧力を緩和する狙いがあると思われ、妥当な政策対応と考えるが、本日のところは中国政府が人民元相場の上昇をけん制する姿勢を鮮明にしたことで、投資家心理への影響が気になるところ。海外投資家の売買動向等を見ながら、方向感を探る動きとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)