28日の香港株式市場は小幅に反発。ハンセン指数の終値は前日比11.21pt(0.03%)高の29,124.41ptだった。日本や台湾など他のアジア株相場の上昇を好感し、香港株にも買いが入った。ただ、午後に中国・上海株相場が弱含むと歩調を合わせた売りが出て、指数は小幅安に転じる場面もあった。週明け31日に中国国家統計局による5月の製造業購買担当者景気指数の発表を控え、様子見姿勢も強かった。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は前日比2.0%安。香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は前日から3割減った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで18億4300万香港ドルの売り越しだった。
28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比64ドル81セント(0.2%)高の34,529ドル45セントで終えた。ダウ平均の上げ幅は一時、150ドルを超えたが、その後は上値が重くなった。31日のメモリアルデーの祝日を含む3連休を前に「持ち高調整や利益確定の売りが出やすかった」との声が聞かれた。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、前日比12.463pt(0.1%)高の13,748.739ptで終えた。
31日の香港市場でハンセン指数は方向感を探る展開か。利益確定の売りが上値を抑えそうだが、米株高が下値を支えそうだ。日本時間10時に中国5月製造業・非製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表される予定。市場では製造業PMIが51.1と前月(51.1)と同水準、非製造業PMIが55.1と前月(54.9)から若干の上昇が見込まれている。
(マーケット支援部 井上)
様子見ムードの強まりも想定しておきたい
28日の中国・上海株式相場は5営業日ぶりに反落した。上海総合指数の終値は前日比8.0663pt(0.22%)安の3,600.7844ptだった。香港とのストックコネクト取引を通じた海外投資家による本土株売買が午後に売り越しに転じ、投資家心理を冷やした。週末を前に持ち高調整の売りも出やすかった。ただ、心理的節目の3,600ptを下回る場面では押し目買いも入り、下げ渋った。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆161億元と前日から約8%増え、節目の1兆元を超える大商いとなった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで5億2700万元の売り越し。個別では、美的集団(ミデア・グループ、000333)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)などが売り越しとなった。
31日の中国本土市場は上値の重い展開か。21日以降に広東省広州市で新型コロナウイルス感染症の市内感染が相次いでいることを受け、市当局は同感染症の地域リスク分類の「中リスク」地域を新たに4カ所指定(市内の中リスク地域は計6カ所に拡大)し、市内全域で大型イベントや外食の自粛も呼び掛けたと伝わっており、投資家心理の重荷となりそうだ。様子見ムードが強まる可能性も想定しておきたい。
(マーケット支援部 井上)