15日の香港株式相場は小幅に反発した。ハンセン指数の終値は前週末比94.04pt(0.32%)高の28,833.76ptだった。世界で景気敏感株が買われるなか、午前に発表された中国の2021年1~2月の主要経済統計が経済の順調な回復ぶりを示し、香港市場でも金融や資源株などを買う動きが強まった。一方、米長期金利の上昇に対する警戒感がネット関連など成長株への売りを促し、相場の上値は重かった。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は続落し、前週末比2.27%安の8264.42ptとなった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで46億7800万香港ドルの売り越しだった。
15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は7日続伸し、前週末比174ドル82セント(0.5%)高の32,953ドル46セントと4日連続で過去最高値を更新した。7日続伸は昨年8月上旬以来の連続上昇記録。前週に米政府の追加経済対策が成立し、景気回復が勢いづくとみた買いが消費関連株を中心に入った。投資家心理も改善している。市場心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は一時20を下回った。終値は前週末比3%低下の20.03と2月12日以来の低水準だった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、前週末比139.843pt(1.0%)高の13,459.708ptで終えた。米長期金利が1.6%台前半と前週末終値と横ばい圏で推移し、長期金利上昇の懸念はやや薄れたのもハイテク株買いを支えた。多くの機関投資家が運用の参考とするS&P500種株価指数は5日続伸し、前週末比25.60pt(0.6%)高の3968.94ptと、3日連続で過去最高値を更新した。
本日の香港株式市場は方向感を欠く展開か。前日に発表された中国の1~2月の工業生産と小売売上高の伸びが市場予想を上回ったことで景気敏感株に買いが入りそうだ。一方、バイデン新政権になっても、ハイテク分野で厳しい対中圧力が続くと見られ、ハイテク株にとっては厳しい局面が続く可能性があろう。
(マーケット支援部 床井)
景気敏感株が買われ、ハイテク株が売られる「二極化」の動きが強まろう
15日の中国・上海株式相場は3営業日ぶりに反落した。上海総合指数の終値は前週末に比べ33.1321pt(0.95%)安の3,419.9456ptだった。米連邦通信委員会(FCC)が12日に、安全保障上の脅威となる通信機器関連企業として華為技術(ファーウェイ、非上場)など中国企業5社を指定した。バイデン新政権になっても、ハイテク分野で厳しい対中圧力が続くとの見方が相場の重荷となった。
15日の取引開始後に発表された工業生産高など中国の1~2月の主要経済統計は、軒並み前年同期比で3割超の増加となった。ただ新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んだ前年の反動が大きく、相場を支える力は欠けた。深セン市場で深セン総合指数、新興企業向け市場の「創業板」指数はともに4営業日ぶりに反落し、それぞれ前週末比2.13%、同4.09%下げた。深セン市場の地合いの悪化が上海市場にも波及した。上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」は大幅に続落し、同3.0%安で終えた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで36億8800万元の買い越しだった。個別では、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが買い越しとなり、美的集団(ミデア・グループ、000333)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場も香港市場同様方向感を欠く展開を想定する。景気敏感株が買われ、ハイテク株が売られる「二極化」の動きが強まろう。
(マーケット支援部 床井)