10日の香港株式市場は続伸。ハンセン指数の終値は前日比134.29pt(0.46%)高の28,907.52ptだった。前日の米株式市場でハイテク比率が高いナスダック総合株価指数が大幅に上昇し、香港でもネット関連を中心に成長株に買い戻しが広がった。一方、金利上昇の恩恵を受けてきた銀行株などは売られ、相場が下げに転じる場面もあった。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は5営業日ぶりに反発し、前日比1.90%高の8216.58ptとなった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで43億3600万香港ドルの売り越し。香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1904億香港ドルと、前日から約31%減少した。
10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比464ドル28セント(1.5%)高の32,297ドル02セントで終え、2週間ぶりに過去最高値を更新し、終値で32,000ドル台に初めて乗せた。米下院は10日、1.9兆ドル規模の追加経済対策を可決した。12日にバイデン大統領が法案に署名し、成立する。これを受け、家計への現金給付などが景気回復を加速させるとの見方から景気敏感株を中心に買われた。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は小幅に反落し、前日比4.993pt安の13,068.832ptで終えた。半導体銘柄への売りが目立ったほか、前日に大幅高だった電気自動車のテスラ(TSLA)も下げて終えた。
11日の香港株式市場でハンセン指数は小幅続伸を想定。米国で追加経済対策が成立する見通しとなり、景気回復期待から10日のダウ工業株30種平均が最高値を更新しており、米株高を背景に買いが優勢となろう。ただ、持ち高を大きく傾けにくい状況は継続か。米国の10年債入札を無難通過したことで米金利上昇への警戒はいったん和らいだものの、市場では年央にかけて上昇基調が強まるとみる参加者が多いようだ。米金利高への警戒が拭えないうちは、割高感のあるハイテク株よりもバリュー株が選好されやすいと考えられ、香港市場でもハイテク関連への買いが続かないとなれば、ハンセン指数の上値も重くなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
もみ合いか。中国当局によるハイテク市場へのIPO基準強化検討の動きに留意
10日の中国・上海株式市場は小幅に5日続落し、上海総合指数の終値は前日比1.5548pt(0.04%)安の3,357.7372ptと、2020年12月22日以来の安値を付けた。朝方は値ごろ感に注目した買いが先行したが、相場の先行きに対する警戒は根強く、大引け間際に下げに転じた。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は7496億元だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで43億3600万香港ドルの売り越し。個別では、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、瀘州老窖(ルーヂョウ・ラオジャオ、000568)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが買い越しとなり、美的集団(ミデア・グループ、000333)などが売り越しとなった。
11日の中国本土市場はもみ合いか。昨日引け後発表された中国の2月金融統計で、新規人民元建て融資は1兆3600億元と、前月比で減少したものの、市場予想は上回った。現地のアナリストは「与信が予想を上回った。中銀が抑制しても実際の借り入れ需要は非常に強い」とコメント。今後については、再び鈍化傾向になると予想する向きもあるものの、足もとの景気回復への期待が高まる内容と言え、下支え材料として意識されよう。一方で、中国当局によるハイテク市場へのIPO基準強化検討の動きには留意が必要か。ブルームバーグが中国当局は上海証券取引所のハイテク新興企業向け市場「科創板」での新規株式公開(IPO)に関してルール強化を検討していると伝えている。内容を見極めたいといった動きも強まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)