9日の香港株式市場は4営業日ぶりに反発。ハンセン指数の終値は前日比232.40pt(0.81%)高の28,773.23ptだった。アジア時間9日の米株価指数先物相場が堅調に推移し、投資家心理が上向いた。ハンセン指数は8日までの3営業日で4.5%下げ約1カ月半ぶりの安値を付けており、値ごろ感からの買いが入りやすかった。香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は2759億香港ドルと、連日で2000億香港ドルを超え、取引は活況だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は88億6600万香港ドルの売り越しだった。
9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比30ドル30セント(0.1%)高の31,832ドル74セントで取引を終えた。米長期金利の上昇が一服し、前日まで軟調だったハイテクなどグロース(成長)株に押し目買いが入った。米国の追加経済対策が景気回復を後押しするとの期待も買いを促した。ダウ平均は一時300ドル超上げたが、引けにかけて伸び悩んだ。長期金利の低下を受けてグロース株買いが鮮明となり、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は大幅反発し、前日比464.664ポイント(3.7%)高の13,073.825ptと、上昇率は今年最大となった。
10日の香港市場でハンセン指数は続伸か。米長期金利の低下で9日の米株式市場がハイテク株を中心に上昇した流れを引き継ごう。足もと売りが目立っていた株価指標面で割高な成長株への買い戻しや押し目買いが優勢になるとみられる。一方で、米10年物国債入札を控え、上昇一服後は戻り待ちの売りも出ると思われ、上値は限定か。本日は日本時間10:30に中国の2月物価統計が発表される予定となっている。
(マーケット支援部 井上)
上海総合指数は3,300pt前後で踏みとどまれるかがポイントか
9日の中国・上海株式相場は大幅に4日続落。上海総合指数の終値は前日比62.1221pt(1.81%)安の3,359.2920ptとなり、節目の3,400ptを下回って終え、2020年12月22日以来の安値を付けた。米長期金利の上昇に対する警戒感から、9日のアジア市場でハイテク株が軒並み下落し、上海市場でも酒造や環境関連、新興ハイテク株などの割高感の強まっていた銘柄を中心に売りが出た。米ブルームバーグ通信が「中国本土株安を緩和するために、中国の政府系ファンドが介入したと言われている」と報じたことを受けて上海総合指数は急速に下げ渋り、前日比0.2%高と上げに転じる場面もあったが、その後は再び売りが優勢になった。上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」も大幅続落し、3.55%安の1230.1371で終え、2020年7月の指数公表開始後の安値を連日で更新した。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで24億3200万元の買い越し。個別では、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、美的集団(ミデア・グループ、000333)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが買い越しとなり、京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ、000725)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが売り越しとなった。
10日の中国本土市場は落ち着き処を探る展開か。9日の中国市場は、取引時間中に「政府系ファンドが介入」なる未確認情報が伝わり、上海総合指数が一時プラス圏を回復するなど買われる場面も見られたが、結局は4日大幅続落となった。今後上海総合指数は昨年12月の安値水準である3,300pt前後で踏みとどまれるかがポイントとなろう。9日はストックコネクトを通じた海外からの投資資金が約24億元の買い越しとなった。米国市場ではナスダック指数が大幅反発となっており、投資家心理の改善に期待したい。
(マーケット支援部 井上)