8日の香港株式相場は3日続落した。ハンセン指数の終値は前週末比557.46pt(1.91%)安の28,540.83pt。節目の29,000ptを下回り、1月29日以来約1カ月半ぶりの安値となった。米議会上院が6日に追加の経済対策を可決したのを受け、米景気回復によるインフレ観測が強まった。アジア時間8日に米ナスダック100株価指数の先物の下落で投資家のリスク回避姿勢が一段と強まり、ネットや新エネルギー関連など割高感の強い銘柄を中心に売りが膨らんだ。半面、英HSBCや香港地元の中銀香港のほか、中国建設銀行や中国平安保険など中国本土の金融株は高かった。中国海洋石油(CNOOC)など石油株が堅調。長江基建集団など安定した配当が見込める香港の公益株も買われた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで131億8000万香港ドルの売り越しだった。香港メーンボード(東証1部に相当)の売買代金は2767億香港ドルと、2月26日以来の高水準となっている。
8日の米株式相場でダウ工業株30種平均は続伸し、前週末比306ドル14セント(1.0%)高の31,802ドル44セントで終えた。追加の米経済対策が近く成立するとの期待から景気敏感株に買いが優勢となった。米上院が6日に可決した追加経済対策は下院で再審議され、今週中にも成立する見通しと伝わった。最大1400ドルの現金給付などを含み、個人消費の押し上げが見込まれる。米国では新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、州政府が行動制限を緩和する動きが広がっており、景気回復を見込み、8日の米債券市場では長期金利が一時1.6%台に上昇した。これを好感して、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株も総じて高かった。ダウ平均の上げ幅は一時651ドルに達し、2月に付けた過去最高値を上回った。ナスダック総合株価指数は反落し、前週末比310.987pt(2.4%)安の12,609.161ptで終えた。朝方は高くなる場面もあったが、米長期金利の上昇を受けて高PER(株価収益率)のハイテク株の持ち高を整理する目的の売りが午後に加速した。
本日の香港株式市場は反発か。米景気回復への期待感を追い風に香港株でも景気敏感株を中心に買いが入りそうだ。もっとも、米長期金利の上昇への警戒感は根強く、相対的な割高感のあるハイテク株は
上値の重い展開となりそうだ。
(マーケット支援部 床井)
下げ渋るも、軟調な展開か
8日の中国・上海株式相場は3営業日続落した。上海総合指数の終値は前週末に比べ80.5726pt(2.30%)安の3421.4141ptだった。節目の3,500ptを下回り、2020年12月30日以来およそ2カ月半ぶりの安値だった。米長期金利上昇への警戒感は根強く、香港市場とストックコネクト取引を通じた海外勢による本土株の売買が大幅な売り越しとなり、本土の投資家心理も悪化した。7日発表の中国の1~2月貿易統計は、米ドル建ての輸出が前年同期比60.6%増だった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が深刻だった前年から大幅に増加したことを好感し、上海総合指数は朝方には前週末比1.2%高まで上げる場面もあったが、買いは続かなかった。原油相場高を受けて石油が総じて堅調だったほか、電力で上げる銘柄が多かった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで85億8900万元の売り越しだった。個別では、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、北京東方雨虹防水技術(ベイジン・オリエンタル・ユーホン・ウォータープルーフ・テクノロジ-、002271)、京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ、000725)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、江蘇恒瑞医薬(ジァンスー・ハンルイ・メディシン、600276)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は軟調な展開か。前日に上海総合指数が節目の3,500ptを割り込んでおり、本日は下げ渋る可能性もあろう。ただ、相場が調整局面に入ることへの警戒感が強まっており、リスク回避の動きが広がっている。日中に通じて軟調に推移しそうだ。
(マーケット支援部 床井)