29日の香港株式市場は4日続落。ハンセン指数の終値は前日比267.06pt(0.93%)安の28,283.71ptと、13日以来約2週間ぶりの安値だった。アジア時間29日の米株価指数先物安を警戒し、投資家が運用リスクの回避姿勢を強めた。中国人民銀行(中央銀行)が29日は金融市場での公開市場操作で多めの資金供給をしたことが支えとなり、ハンセン指数は朝方に1.5%高まで上げる場面もあったが、午後に下げに転じた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで124億6100万香港ドルの買い越し。個別では、テンセント(00700)、美団(メイトゥワン、03690)、小米集団(シャオミ、01810)、香港証券取引所(00388)などが買い越しとなり、吉利汽車控股(ジーリー・オートモービル、00175)などが売り越しとなった。
29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に反落し、前日比620ドル74セント(2.0%)安の29,982ドル62セントで取引を終えた。節目の3万ドルを下回って終えるのは、2020年12月14日以来、1カ月半ぶり。米新興ネット証券のロビンフッドが29日に価格変動の大きい銘柄に対する取引制限を緩和し、個人投資家による投機的な取引が市場の混乱を招くとの警戒感から幅広い銘柄に売りが優勢となった。
本日の香港市場でハンセン指数は週末の米国市場が軟調だった流れを受け、売り先行のスタートが予想される。ハンセン指数は先週末まで4日続落となっており、自律反発の動きが期待されるものの、米国でオンライン掲示板「レディット」を利用する個人投資家集団の投機的な取引による市場の混乱への警戒感が強くなっており、米主要株価指数の時間外取引の動向を睨みながらの展開となりそうだ。31日に中国国家統計局が発表した21年1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、前月より0.6pt低い51.3だった。新型コロナウイルスの局所的な再拡大に対応した移動制限が景況感の重荷となったようで、本日日本時間10時45分発表予定の1月財新中国製造業購買担当者景気指数の内容にも注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
小動きか。中国の景気回復をめぐる強弱感の対立も想定
29日の中国・上海株式相場は続落した。上海総合指数の終値は前日比22.1067pt(0.63%)安の3,483.0692ptと、心理的節目の3,500ptを下回り、2020年12月31日以来およそ1カ月ぶりの安値を付けた。アジア時間29日午後の米株価指数先物の下落を受け、香港などアジアの主要な株式相場が大幅安となった流れが上海市場にも波及し、上海総合指数は一時前日比1.7%安まで下げた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで25億3400万元の買い越し。個別では、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、江蘇恒瑞医薬(ジァンスー・ヘンルイ・メディシン、600276)、ラックスシェア(002475)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、中国中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、歌爾(ゴーテック、002241)、宜賓五糧液(ウーリャンイェー・イービン、000858)などが売り越しとなった。
本日の中国市場は小動きか。中国の春節(旧正月)前後に交通機関が特別態勢で対応する「春運」が28日にスタートした。初日の鉄道、道路、船舶、航空を含めた旅客輸送量は延べ1810万3000人となり、19年と20年の実績に比べそれぞれ73.3%、73.9%減少したもよう。中国当局は今年、新型コロナウイルスの感染再拡大を警戒し、帰省しないよう呼びかけており、景気回復への影響を見極めたいといったムードは強まろう。ただ一方で、市場には今回の移動制限が生産活動の回復に繋がるといった見方もあるようだ。英調査会社は、コロナに伴う規制措置がある程度の生産性を上向かせるのに役立つとしたと伝わっている。中国の景気回復をめぐり、強弱感の対立する場面も想定しておきたい。
(マーケット支援部 井上)