19日の香港株式相場は大幅に4日続伸した。ハンセン指数の終値は前日に比べ779.51pt(2.70%)高の29,642.28ptだった。節目の29,000pt台に乗せ、2019年5月3日以来およそ1年8カ月ぶりの高値だった。中国経済の回復期待が根強いなか、米国ではイエレン次期財務長官が19日の公聴会で大規模な経済対策に前向きな姿勢を示す方針だと伝わり、投資家が運用リスクの選好姿勢を強めた。
ハンセン指数の上昇率は20年11月5日(3.25%)以来の大きさだった。指数を構成する52銘柄のうち48が上昇し、下落は3で、自動車の吉利汽車控股が横ばいだった。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」も大幅に続伸し、2.83%高だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで265億9200万香港ドルの買い越しだった。
19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前営業日である15日に比べ116ドル26セント(0.4%)高の30,930ドル52セントで終えた。バイデン次期政権が掲げる大型の経済対策やワクチン普及への期待が相場を押し上げ、景気敏感株の一角やハイテク株が買われた。
本日の香港株式市場は底堅く推移か。米市場の半導体株高が波及すれば、ハイテク関連の主導で指数も上昇する可能性がある。また、香港市場にとっては、本土マネーの流入継続も引き続き材料視されそうだ。中国本土との相互取引スキームを通じた買い越し額は、今年に入り連日で100億香港ドルを超える大幅買い越し。19日の取引では、買い越し額が約265億香港ドルに達し、過去最高記録を連日で更新した。
(マーケット支援部 松川)
【中国本土市場】新型コロナウイルス感染の再拡大には注意が必要か
19日の中国・上海株式相場は3営業日ぶりに反落した。上海総合指数の終値は前日比29.8423pt(0.82%)安の3,566.3814ptだった。中国国内の新たな手掛かりが不足しているなか、好調な香港株に投資資金が流出しているとの見方が強まり、上海市場では持ち高調整の売りが優勢だった。これまで商品相場の上昇期待から買われていた江西銅業などの素材株が売られ、食品株や家電関連も下げた。上海の新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」は2.52%安の1,443.9205ptと大幅安で、ハイテク株もさえなかった。半面、公益株や電力株が買われ、金融株は高安まちまちの展開だった。上海・深セン両市場を合わせた売買代金は1兆411億元と、節目の1兆元を越えた。深セン成分指数は265.287pt(1.73%)安の15,003.985ptと反落した。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで9億1800万元の買い越しだった。個別では、科大訊飛(アイフライテック、002230)、京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ、000725)、中国中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、などが買い越しとなり、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)、などが売り越しとなった。
中国本土株式市場は、新型コロナウイルス感染が再び拡大していることには注意が必要だ。国家衛生健康委員会は19日、新規感染者が前日に118人確認されたと発表(18日は109人)。首都北京市に隣接する河北省のほか、中国東北部でもロックダウン(都市封鎖)を実施する都市が相次いでいる。なお本日は、中国人民銀行(中央銀行)が事実上の貸出基準金利「ローンプライムレート(LPR)」を発表する(月に一度、原則20日に公表)。昨年12月まで8カ月連続で据え置かれているが、今回に関しても変更はないとみられている。
(マーケット支援部 松川)