18日の香港株式市場でハンセン指数は3日ぶりに反落。終値は前日比179.78ポイント(0.67%)安の26,498.60ptだった。香港内外の新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、世界の経済活動の停滞を警戒する売りが出た。中国共産党の重要会議である中央経済工作会議が近く開催するとの観測から、結果を見極めたいとの気分も根強かった。時価総額の大きな金融株とハイテク大手が売られ、指数を押し下げた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで8億5600万香港ドルの売り越しだった。
18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比124ドル32セント(0.4%)安の30,179ドル05セントで終えた。ダウ平均など主要株価指数は前日に過去最高値を更新しており、短期的な相場の過熱感を警戒した売りが優勢だった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反落し、前日比9.107pt(0.1%)安の12,755.638ptで終えた。18日は株価指数先物などで日本のSQ(特別清算指数)に当たる「クアドルプル・ウィッチング」に当たり、主要ハイテク株には持ち高調整に伴う売りが出て同指数を押し下げたとの見方があった。
本日の香港市場は上値の重い展開か。中国共産党と中央政府は16~18日に翌年の経済運営方針を決める重要会議の中央経済工作会議を開いたと伝わった。2021年のマクロ経済政策について「急転換はしない」とし、今年打ち出した一連の新型コロナウイルス景気対策を一定程度継続する姿勢を示したほか、内需重視やサプライチェーン(調達・供給網)のコントロール能力引き上げ、ITサービスの独占禁止といった方向性を固めたといった内容が伝わったが、第14次五カ年計画については、特に大きく報じられておらず、株式市場にとってはやや期待外れといった印象。ITサービスについて、独占禁止の強化と資本の無秩序な拡張の防止が改めて打ち出されており、本日は主要ネット企業の動向に注目が集まりそうだ。また、米中対立の行方も気なるところ。トランプ米政権は18日、国家安全保障上の懸念を理由に米国製品の輸出を事実上禁止する外資のリストに、中国の半導体受託生産最大手「中芯国際集成電路製造(SMIC、00981)」や、ドローン(小型無人機)最大手「DJI」など77社を追加したと伝わった。これを受け、SMICは20日、短期的に事業や財務状況への大きな影響はないものの「10ナノメートル(nm)の先進技術の研究開発や製造設備の建設に重大で不利な影響がある」との見解を明らかにした。米中ハイテク覇権争い激化への懸念が上値抑制要因として意識されそうだ。
(マーケット支援部 井上)
中央経済工作会議終了で、目先の材料出尽くし感が台頭する可能性は留意しておきたい
18日の中国・上海株式市場は反落。上海総合指数の終値は前日比9.9772pt(0.29%)安の3,394.8960ptと、節目の3,400ptを下回った。午後にかけて金融や酒造株に売りが増え、指数は下げに転じた。上海指数は前日に1.1%上げており、目先の利益を確定する売りが出やすかった。 新型コロナウイルスの世界的な感染再拡大への警戒から18日の香港株が午後にかけて下げ幅を拡大し、上海市場の重複上場銘柄などに売りが波及した面もあった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで13億6200万元の売り越し。個別では、美的集団(000333)、江蘇恒瑞医薬(600276)、伊利実業集団(600887)などが買い越しとなり、ハイクビジョン(002415)、瀘州老窖(000568)、海天調味食品(603288)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場も上値の重い展開を想定。中央経済工作会議が終了したことにより、目先の材料出尽くし感が台頭する可能性は留意しておきたい。米中対立激化への懸念感も上値抑制要因として意識されそうだ。
(マーケット支援部 井上)