9日の香港株式市場は3日ぶりに反発した。ハンセン指数の終値は前日に比べ198.28pt(0.75%)高の26,502.84ptだった。英国で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったほか、米国では週内にも使用が承認される見通し。コロナ感染の世界的な拡大は続いているが、ワクチン普及による経済活動正常化への期待が広がった。8日の米株式相場の上昇に加え、9日午前に発表された中国の11月の消費者物価指数( CPI)が約11年ぶりに下落し、中国の緩和的な金融政策が維持されるとの思惑も相場を支えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで4億3500万香港ドルの買い越しだった。
9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比105ドル07セント(0.3%)安の30,068ドル81セントで終えた。追加経済対策の与野党協議に進展がみられず、投資家心理の悪化につながった。高値警戒感からスマートフォンのアップルなどハイテク株が売られたのも相場の重荷だった。また、「ワクチン相場」にも懸念材料が浮上した。米ファイザーなどが開発したワクチンの接種を8日に始めた英国では、当局がアレルギー反応が出るリスクがあると注意を呼びかけた。過去に深刻なアレルギー反応があった人は接種できないという。ワクチン普及の障害になる可能性が意識され、市場心理を冷やした。
本日の香港株式市場は、米経済対策の協議膠着が嫌気されることになりそうだ。前日の米市場での主力ハイテク株の下落を引き継ぎ、香港市場もハイテク株を中心に利益確定売りとなりそうだ。
(マーケット支援部 床井)
投資家心理悪化、続落も押し目買いが入るか
9日の中国・上海株式市場は3日続落した。上海総合指数の終値は前日比38.2131ポイント(1.1%)安の3371.9640ptと、心理的な節目の3400ptを下回り、11月26日以来およそ2週間ぶりの安値を付けた。朝方発表の中国の11月の消費者物価指数(CPI)がほぼ11年ぶりに前年同月を下回った。デフレ圧力が意識され、投資家心理の重荷となった。香港から中国本土に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで38億8900万元の買い越しだった。個別では、格力電器(000651)、ラックスシェア(002475)、ゴーテック(002241)、貴州茅台酒(600519)、上海汽車集団(600104)などが買い越しとなり、美的集団(000333)、ハイクビジョン(002415)、江蘇恒瑞医薬(600276)、中国中免(601888)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は、投資家心理が下向き、売り先行となりそうだ。米経済対策の協議膠着や国内の11月のCPIが前年同月を下回ったことが投資家心理の重荷となろう。ただ、上海総合指数は、心理的な節目の3400ptを割り込んでおり、押し目買いが入れば下値は限定的となろう。
(マーケット支援部 床井)