7日の香港株式市場でハンセン指数は3営業日ぶりに反落した。終値は前週末比329.07pt(1.22%)安の26,506.85ptだった。米トランプ政権が対中制裁策を強化するなか、米中対立の先鋭化や株式市場への悪影響などへの警戒が強まった。ハンセン指数の構成銘柄数は7日から52銘柄と、前週末までの50銘柄から拡大した。7日はこのうち7割強に当たる39銘柄が売られた。中国本土系銘柄を中心に売りが広がり、金融株やハイテク株、資源株などがほぼ全面安。半面、米中対立の直接的な影響は免れるとの見方から、香港地場銘柄を買う動きも散見された。中国製薬の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)系への出資を発表した中国生物製薬(01177)はもみ合いの末、大幅高で終えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで20億7400万香港ドルの買い越しだった。
7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前週末比148ドル47セント(0.5%)安の30,069ドル79セントで終えた。米国での新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、経済活動が想定以上に制限されるとの見方が投資家心理を冷やした。コロナ感染の拡大で、追加経済対策が成立するとの期待は高まっている。ただ、7日は与野党協議の大きな進展を示す報道がなかった。同日、与野党協議の時間を稼ぐため、11日に期限を迎える現行のつなぎ予算の1週間延長を検討していると伝わった。協議に時間がかかるとの思惑を呼び、買い手控えにつながった面もある。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸。前週末比55.714pt(0.4%)高の12,519.946ptで終え、連日で過去最高値を更新した。コロナ感染の拡大で「巣ごもり消費」が長期化するとの見方があり、恩恵を受ける動画配信のネットフリックスなどが上昇した。
本日の香港株式市場は、市場が期待する米国の追加経済対策の成立に向けた大きな進展は見られず、株を買い上がる雰囲気は乏しい。また、米中関係の悪化も懸念されており、日中を通じて軟調な推移となりそうだ。
(マーケット支援部 床井)
米中関係の悪化懸念、売り圧力に押される地合いか
7日の中国・上海株式相場は反落した。上海総合指数の終値は前週末比27.9777pt(0.81%)安の3,416.6037ptだった。前週末の米株高を受けた買いが先行したが「米政府が香港問題を巡り、少なくとも十数人の中国高官に制裁を課す準備をしている」との報道が伝わると、香港株式相場が下げ幅を拡大し、売りが中国本土市場にも波及した。株価指数を開発・算出する英FTSEラッセルが、トランプ米政権による投資禁止措置を理由に、8銘柄を同社の株価指数から除外すると発表し、海外資金の流出を懸念した売りが出た。また、自動車向け半導体不足への懸念から上海汽車や長城汽車などの自動車株に売りも目立った。半面、半導体受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC.688981)がシリコンウエハー新工場の建設計画を発表し、大幅に上昇した。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで11億6100万元の売り越しだった。個別では、貴州茅台酒(600519)、中国中免(601888)、恒生電子(600570)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが買い越しとなり、内蒙古伊利実業集団(600887)、格力電器(000651)、京東方科技集団(000725)、ハイクビジョン(002415)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は、米中関係の悪化を警戒する動きとなりそうだ。トランプ米大統領は任期中に、中国に対する圧力を一段と強める見方が広がっており、目先は売り圧力に押される地合いを強いられそうだ。
(マーケット支援部 床井)