3日の香港株式市場は反発。ハンセン指数の終値は前日比195.92pt(0.73%)高の26,728.50ptだった。米ドルの先安観を背景に香港などの新興国市場に資金が流入するとの期待が根強かった。出遅れ感のある銘柄への物色が続き、中国の大型ネット株や香港の金融株が買われ、相場を押し上げた。ハイテク関連の30銘柄で構成するハンセンテック指数は4営業日ぶりに反発し、前日比1.17%高の7940.19ptで取引を終了した。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで30億4200万香港ドルの買い越しだった。
3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比85ドル73セント(0.3%)高の29,969ドル52セントで終えた。追加の経済対策の早期成立への期待から買いが優勢となったが、午後に米製薬のファイザーなどが開発中の新型コロナウイルスのワクチンが計画した規模では供給できないと伝わり、引けにかけて上げ幅を縮めた。ナスダック総合株価指数は反発し、前日比27.816pt(0.2%)高の12,377.182ptと過去最高値を更新した。
本日の香港市場でハンセン指数は方向感に乏しい展開か。米国市場の上昇や香港・中国景気の回復期待が心理的な支えになりそうな一方で、米中対立への懸念が上値を抑える要因として意識されそうだ。昨日発表された香港の11月総合購買担当者景気指数(PMI)は50.1となり、2018年3月以来、2年8カ月ぶりに好不況の節目を示す50を上回った。市場には「中国から香港への旅客は2021年第2~3四半期にかけて回復する」と指摘する声もあり、中国景気の持ち直し期待が根強いこととも相まって、投資家心理の支えとなりそうだ。米中対立については、トランプ米政権が投資を禁じる中国軍関連企業に半導体メーカーの中芯国際集成電路製造(SMIC、00981)や石油大手の中国海洋石油(CNOOC、00883)など4社を追加したと伝わったほか、米国による中国共産党員へのビザ規制強化などが伝わった。いずれも目新しさに欠ける内容ではあるものの、上値追いを抑える材料として意識される可能性はあろう。全体的に方向感に乏しい動きが想定される中、個別銘柄を選別物色する動きが強まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
高値圏でのもみ合いか
3日の中国・上海株式市場は続落。上海総合指数の終値は前日比7.2446pt(0.21%)安の3,442.1359ptだった。米下院が2日、米国に上場する中国など外国企業の会計監査状況について、米当局の検査を義務づける法案を全会一致で可決した。米大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領は対中国の制裁関税解除に慎重な姿勢を示しており、米中対立の早期緩和は難しいとの見方が相場の重荷となった。一方、取引開始後に中国メディアの財新などが発表した中国の11月の非製造業購買担当者景気指数(PMI)は、前月比1.0ポイント上昇の57.8と高水準だった。中国経済回復への期待は根強く、相場の下値は固かった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで35億9400万元の買い越し。個別では、美的集団(000333)、江蘇恒瑞医薬(600276)、興業銀行(601166)、中国中免(601888)、恒生電子(600570)などが買い越しとなり、格力電器(000651)、京東方科技(000725)、三一重工(600031)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は高値圏でのもみ合いか。香港市場同様に景気回復期待が支えとなる一方で、米中対立激化への警戒感が上値を抑える展開となりそうだ。
(マーケット支援部 井上)