27日の香港株式相場は6日続伸。ハンセン指数の終値は前日比75.23pt(0.28%)高の26,894.68ptと、2月21日以来約9カ月ぶりの高値だった。中国人民銀行が26日に公表した7~9月期の金融政策報告書で、社債などのデフォルトリスクを抑え、処理の際のメカニズムを改善させる方針を示したことを受け、金融システム安定化への期待から中国本土の銀行などが買われ、相場を押し上げた。香港上場のハイテク関連30銘柄で構成する「ハンセンテック指数」は続伸し、同0.4%高。中国本土から香港株に投資するサウスバウンド取引は、成約ベースで53億1000万香港ドルの買い越しだった。
27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前営業日の25日に比べ37ドル90セント(0.1%)高の29,910ドル37セントで終えた。米政権の移行が円滑に進むとの見方や新型コロナウイルスのワクチン普及の期待から買い優勢となったが、感謝祭の翌日とあって売買は盛り上がりを欠いた。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸し、111.444pt(0.9%)高の12,205.846pt、機関投資家の多くが運用の参考とするS&P500種株価指数は反発し、8.70pt(0.2%)高の3,638.35ptで終え、ともに過去最高値を更新した。
本日の香港市場は前週末の欧米株高の流れを引き継ぎ買い先行のスタートとなろう。域内外で新型コロナの感染拡大が続いており、経済停滞への懸念もくすぶるものの、ワクチン普及期待が相殺する流れとなりそうだ。28日の英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、英政府は近く米製薬大手ファイザーなどが開発する新型コロナのワクチンを緊急承認する方針。早ければ12月7日にも接種が始まるという。本日は日本時間10時に11月中国PMIが発表される予定となっている。市場の予想通り景気回復が続いていることが確認出来れば、銀行株中心に堅調な動きが期待できそうだ。
(マーケット支援部 井上)
中国景気の持ち直しが意識される流れは継続か
27日の中国・上海株式相場は続伸し、上海総合指数の終値は前日比38.5737pt(1.14%)高の3,408.3071ptと、節目の3,400ptを上回った。午後に入り、香港とのストックコネクト取引を通じた買いが増え、海外資金の流入観測が相場を押し上げた。朝方発表された10月の中国工業企業利益は前年同月比28.2%増と9月(同10.1%増)から増加率を広げ、中国景気の回復観測も、投資家心理の支えになった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで24億7700万元の買い越し。個別では、ラックスシェア(002475)、京東方科技(000725)、上海汽車集団(600104)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが買い越しとなり、美的集団(000333)、ハイクビジョン(002475)、三一重工(600031)、万華化学(600309)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は堅調な展開か。日本時間10時発表の中国PMIの内容が景気回復を期待させるものとなれば、金融株中心に物色される展開となろう。中国景気の持ち直しが意識される流れが続きそうだ。
(マーケット支援部 井上)