30日の香港株式相場は大幅に4日続落。ハンセン指数の終値は前日比479.18pt(1.94%)安の24,107.42ptと、6日以来約1カ月ぶりの安値となった。米株価指数先物の下落を受けて投資家がリスク回避姿勢を強め、取引終了にかけて幅広い銘柄に売りが加速した。11月5日に香港上場するアリババ集団傘下のアント・グループは10月30日まで個人投資家向け公募を実施。株式の購入希望者から1兆3000億香港ドルを吸収したと一部で報道され、保有株を売却してアントに資金を振り向ける動きも相場の重荷となった。中国共産党指導部が第19期中央委員会第5回総会(5中総会)でまとめた、次期五カ年計画や2035年までの長期目標に関するコミュニケが公表された。ただ具体的な産業振興策などへの言及が少なかったため、市場の反応は限定的だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで59億2600万香港ドルの買い越しだった。
30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比157ドル51セント(0.6%)安の26,501ドル60セントで取引を終えた。米国の新型コロナウイルスの1日当たり感染者数が過去最多を更新し、景気懸念が高まった。前日夕発表の決算を材料にスマートフォンのアップルなど主力株が売られたのも相場の重荷となった。翌週に米大統領選挙を控え、買い手控えムードも強かった。
本日の香港市場でハンセン指数は方向感に乏しい展開か。前週末の大幅下落の反動で自律反発を見込んだ買いが支えになると思われるものの、新型コロナウイルスの感染が急拡大している欧州主要国が、軒並み1カ月程度の行動制限に踏み切ると伝わっており、積極的な上値追いは限定的となろう。また、米大統領選挙を明日(11/3)に控え、取引手控えムードの強まりから薄商いとなることも想定されることから、時間外の米株価指数先物取引の動向など外部要因で値動きが大きくなる可能性は留意しておきたい。
(マーケット支援部 井上)
もみ合いか。上海総合指数に底堅さがみられるかがポイントとなろう
30日の中国・上海株式相場は4日ぶりに反落。上海総合指数の終値は前日比48.1949pt(1.47%)安の3224.5325ptと、9月30日以来1カ月ぶりの安値だった。新型コロナウイルスの欧米などでの感染拡大による規制強化を警戒し、中国時間30日午後に米株価指数先物やアジアの主要な株式相場が下げ幅を拡大。上海市場にも世界的な経済活動停滞を警戒した売りが波及した。深セン成分指数は同283.06pt(2.09%)安の13,236.601ptで取引を終了した。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで56億7300万元の売り越し。個別では、格力電器(000651)、瀘州老窖(000568)、海爾智家(600690)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(000858)、ラックスシェア(002475)、ゴ―テック(002241)、ハイクビジョン(002415)、伊利実業集団(600887)、貴州茅台酒(600519)、中国中免(601888)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場はもみ合いか。前週末の下げで約1カ月ぶりの安値水準となった上海総合指数に底堅さがみられるかがポイントとなろう。決算内容を手掛かりに個別銘柄を選別物色する動きが強まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)