29日の香港株式相場は3日続落。ハンセン指数の終値は前日比122.20pt(0.49%)安の24,586.60ptだった。欧米の新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて28日の欧米株が急落し、投資家心理が悪化。香港市場でも売りが先行し、朝方に一時前日比1.8%安まで下げた。一方で、中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで113億1400万香港ドルの大幅な買い越しとなり、中国本土からの資金流入の持続期待が相場を下支えした。
29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、前日比139ドル16セント(0.5%)高の26,659ドル11セントで取引を終えた。引け後に決算発表を控えるスマートフォンのアップルなど主力ハイテク株の一角が業績期待から買われ、相場をけん引。市場予想を上回る米経済指標の発表が相次ぎ、景気敏感株の買いも誘った。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、前日比180.72pt(1.6%)高の11,185.59ptで取引を終えた。
本日の香港市場でハンセン指数は戻りを試す展開か。米国市場が反発した流れを受け、買い先行のスタートが予想される。中国共産党の第19期中央委員会第5回総会(5中総会)は29日、国民経済の中期目標などを定める第14次五カ年計画(2021年~25年)と、35年までの長期目標の基本方針を採択し、閉幕した。新五カ年計画では、「国内大循環」と呼ぶ内需主導の経済運営に力点を置く方針が示されており、香港市場でも政策関連銘柄に再注目する動きが強まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
堅調な展開を想定。業績の改善がみられる銘柄への資金流入が継続しよう
29日の中国・上海株式相場は小幅ながら3日続伸した。上海総合指数の終値は前日比3.4894pt(0.10%)高の3272.7274ptだった。5中総会で発表される政策への期待が根強かったほか、香港とのストックコネクト取引を通じた外国人投資家による売買が買い越しとなったのが支えだった。ただ、前日の欧米株安につられてアジアの主要株式市場はさえず、積極的に上値を追う動きは乏しかった。深セン市場では、深セン成分指数が前日比0.98%上昇、ベンチャー企業向け市場「創業板」指数も同1.10%高だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで17億8600万元の買い越し。個別では、宜賓五糧液(000858)、ゴーテック(002241)、瀘州老窖(000568)、貴州茅台酒(600519)、興業銀行(601166)などが買い越しとなり、ラックスシェア(002475)、格力電器(000651)、中国中免(601888)、伊利実業集団(600887)、万華化学(600309)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は堅調な展開を想定。5中総会閉幕後に第14次五カ年計画の骨格などが明らかになっており、改めて政策関連銘柄に注目が集まろう。また、昨日の中国本土市場では、前日引け後の決算で、7-9月期の業績改善傾向が明らかとなった華域汽車系統(600741)、瀘州老窖(000568)、老板電器(002508)などがストップ高まで買い進まれた。本日も決算発表を受け、業績の改善がみられる銘柄への資金流入が継続しよう。
(マーケット支援部 井上)