20日の香港株式市場でハンセン指数は続落。終値は前日比387.52pt安の24,791.39ptと、心理的な節目の25,000ptを割り込み、10日以来およそ1週間半ぶりの安値を付けた。前日の米株安に加え、米国が香港との犯罪人引き渡し条例を停止したことで、米中対立の先鋭化に伴い海外投資家の対香港投資が鈍るとの懸念が強まった。米中両国での金融緩和期待の後退も投資家心理の重荷となった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで3億8100万香港ドルの買い越しだった。
20日の米株式市場ダウ工業株30種平均は4日ぶりに反発し、前日比46ドル85セント高の27,739ドル73セントで取引を終えた。スマートフォンのアップルなど主力ハイテク株が買われ、相場を押し上げた。朝方発表の米新規失業保険申請件数が市場予想以上に増え、景気懸念から売りが優勢になる場面もあったが、コロナ禍が業績の逆風になりにくいハイテク株への物色が続いた。
本日の香港市場は反発か。ハンセン指数は前日に心理的節目の25,000ptを割り込んで終えたため、自律反発を見込む買いが先行しそうだ。米中対立については、中国商務省の報道官が20日に米国との閣僚級貿易協議を近日中に開くと明らかにしたことで、本日は和らぐ方向と思われるものの、焦点が貿易から規制強化に移っていることもあり、相場への影響は限定的か。決算発表銘柄を中心に個別銘柄を選別物色する動きが強まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
方向感に乏しい展開か。好業績銘柄に注目が集まりそうだ
20日の中国本土株式市場は続落。上海総合指数の終値は前日比44.23pt安の3,363.8988pt、深セン成分指数の終値は同159.929pt安の13,320.923ptだった。国営新華社系の経済紙「中国証券報」が「全面的な預金準備率下げの可能性が低下した」と報じたほか、実質的な政策金利である8月の最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)が4カ月連続で据え置きとなったことを受け、追加の金融緩和策に対する期待が後退し、幅広い銘柄への売りにつながった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで28億3300万元の売り越し。個別では、ラックスシェア(002475)、格力電器(000651)、歌爾(002241)、ハイクビジョン(002415)、伊利実業集団(600887)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(000858)、中国中免(601888)、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが、売り越しとなった。
本日の中国本土市場は方向感に乏しい展開か。決算内容を材料に個別銘柄を選別物色する動きが中心となりそうだ。昨日引け後に歌爾(ゴーテック、002241)が発表した6月中間期決算は、14.71%増収49.05%増益と好調な内容となった。純利益は45~50%増益との事前見通しのほぼ上限での着地となり、AirPodsなどのワイヤレスイヤホン製造が好調だったようだ。同社は1~9月期でも70~90%大幅増益というガイダンスを発表しており、注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)