16日の香港株式相場は反落。ハンセン指数の終値は前日比510.89pt安の24,970.69ptだった。節目の25,000ptを下回り、6月30日以来の安値だった。午前に発表された中国の4-6月期実質国内総生産(GDP)は、前年同期比3.2%増とプラスに転じたが、目先の好材料出尽くし感が広がったうえ、中国本土株が特定銘柄を巡る相場の過熱を警告する報道を受けて大幅安となり、香港株にも売りが波及した。上海のハイテク企業向け市場「科創板」に重複上場した中国半導体受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC、00981、688981)は上海市場では公開価格の約3倍で取引を終えた一方、香港市場では約25%下落した。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで4億700万香港ドルの買い越しだった。
16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比135ドル39セント安の26,734ドル71セントで取引を終えた。米雇用の回復鈍化を示唆する経済指標を手掛かりとした売りが優勢だったほか、米中対立が激化するとの懸念も投資家心理を冷やした。
本日の香港市場は落ち着きどころを探る展開か。昨日大幅下落となった香港市場だが、下げの背景のひとつには取引時間中に発表された中国の4-6月GDP成長率が予想を大幅に上回る改善をみせるなか、逆に市場関係者からは「金融緩和の深堀や景気刺激策の拡大はこれ以上見込めない」との声が聞かれたこともあったようだ。小売売上高の伸び悩みや失業率の高止まりなどを見るに金融緩和策や景気下支え策が即打ち止めになる可能性は低いと考えるが、当面は中国本土市場の動向などを見ながら、落ち着きどころを探る動きが予想される。また、米中対立激化を警戒させるような報道も相次いでおり、動きづらい展開も想定されよう。ハンセン指数は25日移動平均線の位置する25024pt近辺を意識した動きとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
軟調展開継続も、下落相場に繋がる可能性は低いと見る
16日の中国本土株式相場は大幅に3日続落した。上海総合指数の終値は前日比151.2058pt安の3,210.0986pt、深セン成分指数の終値は同737.789pt安の12,996.339ptだった。朝方発表の中国の4-6月期実質GDP成長率は市場予想を上回る改善となったが、材料出尽くしとの見方から利益確定売りが出た。指数はGDP発表後にほぼ一本調子で下げ幅を広げ、この日の安値圏で引けた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで69億2000万元の売り越しだった。個別では、ラックスシェア(002475)、ハイクビジョン(002415)、伊利実業集団(600887)、恒生電子(600570)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(000858)、格力電器(000651)、貴州茅台酒(600519)、中国中免(601888)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は軟調展開継続か。これまで株価が速いペースで上昇してきたため、本日もスピード調整の動きが続くと思われる。昨日は中国共産党系メディアによる茅台酒を批判する記事が話題となったようだが、関係当局は連日で相場の過熱感を抑える姿勢を示しているもよう。ただ、これらは健全な状態を保つための当局の配慮とも捉えられ、相場下落に繋がるようなマイナスの材料ではないと思われる。中国当局は科創板の創設や創業板の新規株式公開(IPO)登録制導入など、様々な証券市場改革を行っており、米国との対立が深まるこのタイミングで中国国内の株式市場を厳しく取り締まることはないだろう。値幅調整を経ながら次の展開を睨む局面と言えそうだ。
(マーケット支援部 井上)